IDC Japanは9月1日、国内ERP市場の2008年の分析と2009年～2013年の予測の調査概要を発表した。概要によると、2008年の国内ERPアプリケーション市場規模は1763億2600万円と前年比成長率8.0％増のプラス成長となった。
ERPアプリケーションは昨年9月までの好調な導入機運と、金融危機以降も中期経営計画に組み込まれた大手企業向けERPパッケージを中心に、プロジェクトが当初の予定通り進行したことが市場を牽引した一因となった。
一方、2009年のERPアプリケーション市場は昨年9月の金融危機以降、新規ERP導入の引き合いが減少した影響で市場の立ち上がりが遅く、成長率は1.8％増の微増にとどまると分析している。
2008年～2013年のERPアプリケーション市場は、年平均成長率3.8％で成長すると見られる。2013年には市場規模が2125億9700万円に達する見通し。ここで言われるERPアプリケーションとは、大企業向けから中小企業向けまでを含む、財務／会計、調達／購買、販売、プロジェクト＆ポートフォリオなどの各業務管理アプリケーション全体を指す。
2008年のERPアプリケーションベンダーシェアは、SAPが首位でシェアは18.0％、2位は富士通でシェアは15.3％、3位はワークスアプリケーションでシェアは8.9％だった。また、前年比成長率ではオラクルが22.4％と最も高い成長率を示した。
ユーザーに対する調査結果によると、ERPアプリケーション市場は財務会計や給与計算のような業種や業務による企業固有の管理ニーズが少ない水平展開型のソリューションで、パッケージの採用率が70％を超えており、更新需要中心の市場であると見られている。
一方、販売、在庫、生産管理など個々の業種や業務、企業により管理手法に独自性が強い領域でも、積極的にERPパッケージを採用しようとする企業のニーズが顕在化している。
赤城知子・IDC Japan ソフトウェア＆セキュリティグループマネージャーは「ERPソリューションプロバイダーによるテンプレートを中心とした大量生産／分業体制型の導入手法は、販売や在庫、生産管理を網羅的に垂直統合型で導入しようと考える企業のニーズに対応できない場合もある。個々の業務領域を得意とするERPアプリケーション間の連携や、個々の業種／業務を得意とするソリューションプロバイダー間の連携が必要」と述べた。
