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ヤマト運輸/独自に集配車両の車載システム開発、65億円投資

2010年02月25日/IT・機器

ヤマト運輸2月25日は、NECと共同で開発した車載システム「See-T Navi(シーティーナビ)」を2010年3月より順次集配車両に搭載し、2010年度末までに全集配車両32000台に装備すると発表した。

投資額は65億円で、将来的には、運行車両おおよそ2000台に導入していく予定だ。

<シーティーナビを操作するSD>
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同社は、デジタルタコグラフの導入を検討してきたが、1月27日に発表を行った次世代の社内情報システム「次世代NEKOシステム」との融合など、拡張性の強化を視野に入れて、IT・ネットワークや高度道路交通システム(ITS)などの技術を持つNECをパートナーとして選定。独自の車載システム開発を推進した。

<会見する木川社長>
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東京主管支店で開かれた記者会見上で、ヤマト運輸の木川眞社長は、「開発に当たっては、安全とエコを最大のポイントとした。新システムを導入することで、輸送の見える化を進めたい。機能だけではなく、単純に安全とエコだけでもない、顧客の利便性にまで踏み込んだ拡張性を実現できないかという思いで開発に当たった。2月1日から開始した宅配便の新サービスをサポートするのが同システムとなる。次世代のシステムは顧客の中に位置し、個々の顧客を認識しながら配送する、いわゆる個配への転機となる」と述べた。

シーティーナビは車載機、SD用ソフト、管理用ソフト、データセンターの4つの要素で構成している。

車載機は、CPU搭載ディスプレイにBluetooth・無線LAN機能を搭載。タッチパネルを採用することで、優れた操作性を実現した。国土交通省から認可されたデジタルタコグラフとドライブレコーダー機能を一体化。法定三要素(車速、距離、時間)の取得・記録ほか、急発進・急加速などを音声でSD(セールスドライバー)に警告したり、燃費情報の提供などを行う。

<車載機の画面>
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SD用ソフトは、SDが運転日報の出力などの日常業務を行うほか、電子地図に駐車箇所や走行禁止エリア、危険エリアを登録したり、車載機で収集したデータの閲覧ができる。管理用ソフトは、本社、支社、主管支店・支店の管理担当者が、管下車両の前日までの運転実績データを「車両/個人/事業所」などの項目別で閲覧・分析し、指導することが可能となる。ヤマトグループのヤマトシステム開発のデータセンターで、登録したイベント情報や運行データを管理する。

導入はふたつの段階に分かれる。第一段階(1次フェーズ)では、まず作業効率の向上を図り、日常運行に付随する作業や管理業務をシステムに登録する。地球環境への配慮から、エコドライブの精度を高め、車両からのCO2 排出量を削減。運転者への安全支援として、安全集配ルートマップをデジタル化する。運転履歴の管理については、運転状況をデジタルデータ化して蓄積する。

第二段階(2次フェーズ)以降の展望としては、シーティーナビは拡張性を持たせて開発しているため、ソフトウェアや周辺機器を増設するだけで、気象情報や渋滞情報を公共機関へ提供したり、車に搭載した冷凍・冷蔵庫のきめ細かな温度管理も可能となる。

<シーティーナビのシステムイメージ図>

基幹システムである「次世代NEKOシステム」との連携によって、荷物を集荷した時点で配送データを先送りする。配達担当店の電子地図上に届け先を表示して、SDの集配を支援することによって、詳しい届け時間を事前に電子メールなどで知らせることが可能になる。顧客からの集荷依頼データを伝送し、車載機につないだプリンターから送り状を発行するなどの仕組みも想定している。

一次フェーズのシステム開発と全集配車両配備にかかる費用は、おおよそ65億円。一次フェーズは、集配車両への導入によって来期中に完了する。二次フェーズはすでに始動しており、永遠にレベルアップしていくため終結は考えていない。

CO2排出量削減の目標値は、初年度で1万8000トンの効果を期待している。SDに対する給与面でのインセンティブは今のところ考慮せずに、安全運転を徹底したSDを評価・表彰する対象にすることで、輸送の「見える化」につなげるとともに教育効果を狙っていく。

なお、NECでは、今回開発したデジタルタコグラフとドライブレコーダー機能を一体化した運行管理システムについて、外販する考えであるとしている。

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http://www.lnews.jp/2010/01/35244.html

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