ヤマト運輸は1月27日、情報システムを刷新し、約300億円を投じて「次世代NEKOシステム」を導入すると発表した。
<説明する木川眞社長>
輸送時に発生する様々な情報をフルデジタルでデータ化し、顧客の要望に応じてデータベースとして構築して、サービスの向上などに活用する。またそのデータベース群と、法人顧客が運用するシステムとのデータ連携を容易にする。
ヤマト運輸では、1960年代に社内業務用の情報システムを導入し、2000年に導入した第5世代までの情報システムは増加し続ける宅急便に対応する社内の業務効率化を主眼にしていたため、インターネットの普及する中で時代の流れにそぐわない側面も持っていた。
<第7次NEKOシステム>
2005年には現行の第6世代のシステムを導入し、基本的な発想を顧客に便利なシステムに転換。徹底的に顧客の視点で開発を行った。
今回の次世代NEKOシステムで使用するインフラでは、ポータブル・ポス(1月~7月にかけて全国に導入予定)を業務用端末から、顧客とのコミュニケーションの接点となるツールに進化させ、軒先クラウドコンピューティング機能を搭載した。
また業界初のモバイル型マルチ電子マネー決済機能を搭載し、WAONなど3種類の電子マネー決済に対応。従来のクレジットカード・デビットカード決済の専用端末もポータブル・ポスに一体化した。
さらにKDDIの防水・タッチパネル対応型のWindowsMobileを搭載した次世代携帯電話を採用した。この携帯電話は、音声通話と高速のデータ通信の同時利用に対応し、PP機能の一部を上位センターに肩代わりさせる「軒先クラウドコンピューティング」を実現。
新サービスの提供基盤を構築する。今回のシステム刷新で、ヤマト運輸はポータブル・ポスを5万3000台、Windows7を採用したワークステーション(9月から順次導入)を5000台導入する。さらに、集配車に新車載器導入も進めている。
<ヤマトのIT戦略>
木川社長は、ヤマト運輸の今後のIT戦略について「宅配から個配によるサービス提供とフルデジタル化」を進め、ITインフラの更なる強化を進めることで「お客様基点のサービスを展開していく」と抱負を語った。