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矢野経済研究所/2010年のERPパッケージライセンス市場963億円

2010年03月03日/調査・統計

矢野経済研究所は3月2日、生産管理、販売管理などのEnterprise Resource Planning(ERP)パッケージ市場の動向を国内ベンダー24社に調査した「ERP市場動向に関する調査結果2010」を発表した。

それによると、2009年のERPパッケージライセンス市場は前年比14.0%減の1005億円となった。

2009年の減少は、大規模投資を伴うERP案件は延期や見送りの対象となり、どのベンダー・製品も案件の縮小や凍結、先送りなどが起き、導入費用や保守費用の値下げ要求も伴った。業種別では、自動車、電子・電子機器、機械など加工組立製造業で景気の影響が大きかった。

ユーザー企業の規模別では、製造業大手の不振が目立ち、2008年まではERP導入に積極的だった中堅中小企業も、2009年は業績悪化により投資余力を失う企業が多かったため、ERPの売上は減少した。

2010年のERPパッケージライセンス市場は4.1%減の963億円とマイナス基調ではあるが、2009年よりは小幅な下落に留まると見られている。中国など新興国の需要に支えられた輸出型製造業に回復基調が現われていること、一部流通業などで投資意欲の高い企業が増えてきていることなどがプラス要因と見られている。

下期には、幅広い業種で景気回復後の経営強化を目的とした投資が開始されると考えられるものの、ERPは検討や導入に時間がかかり、IT投資全般の増減傾向が遅れて現われる傾向があるため、市場のトレンドが変化するのは2011年の見通し。

ERPへの投資に繋がるポイントとして、IFRS(国際財務報告基準)対応を目的とした投資や、クラウドコンピューティングによる新しい利用形態の導入が挙げられる。これらはERPベンダーの重要なテーマとなっており、ERP市場の成長要因として具体化するのは2011年以降になると考えられている。

ERP全体ではなく、機能やシステムの一部を切り出してSaaS化する方向性で検討を進めているベンダーが多いが、完全SaaS型のERPもリリースされた。SaaS以外に、個別企業向けのプライベートクラウド環境でERPを稼動させるサービスも増えているが、2010年はサービス数が少ないこととユーザー企業の認知度が低いため、クラウド型ERPの普及には1~2年程度かかるとと見られる。

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