(株)商船三井が2月8日に発表した平成19年3月期第3四半期連結決算によると、売上高は1兆1617億4300万円(前年同期比14.3%増)と増収になったものの、営業利益は1203億2500万円(12.5%減)、四半期純利益も875億5400万円(2.7%減)と落ち込んだ。
第4四半期以降については、船舶燃料油価格の再上昇、円高の進行、世界経済の減速などの懸念材料があるものの、海運市況はドライバルク部門を中心に当面堅調に推移するものと見込み、コンテナ船事業も「足元の環境は、各航路とも荷動きが好調で需給は引き締まっている」とした。
特にアジア-欧州航路(往航)では満船状態が続いており、昨年7、10月の運賃修復に加え、1月以降の運賃修復に追い風になったとしている。南米・アフリカ航路についても、好調な荷動きを背景に、昨年夏場以降、運賃修復を進めている。北米航路では、旧正月などの季節要因により冬場は積取の減少が予想されるため、ウインタープログラムによる船腹供給調整を実施。
不定期専用船事業は、ケープサイズバルカーを始めとするドライバルク船の市況が堅調に推移している一方、タンカー市況は、暖冬により原油在庫が積み上がっていることなどから、調整局面に入っているとした。
こうした見通しと第3四半期までの実績をふまえ、平成18年度の通期の連結業績は、売上高1兆5700億円、営業利益1660億円、経常利益1750億円、当期純利益1180億円を予想している。
部門別業績は次の通り。
①コンテナ船事業
<四半期業績>
荷動きは各航路とも堅調で、前期までの船型の大型化や新サービス開始により積取量は増加したが、船舶燃料油価格の上昇、ターミナル荷役費や内陸鉄道料金などの費用増加が損益を圧迫した。
欧州航路については、2005年末より大きく低下した運賃を完全に修復するには至っておらず、北米航路は、2006年春に契約更改した運賃水準が前期より低い水準で決着したことが、前年同期との比較で大きな損益悪化要因となった。南米・アフリカ航路についても、競争激化により2005年末より運賃が下落したことなどが損益悪化要因となった。
コンテナターミナル業や運送代理店など周辺事業は各航路の活発な荷動きにより好調に推移したが、航路損益の大幅悪化を補うには至らず、コンテナ船事業の第3四半期の損益は、前年同期を大きく下回った。
②不定期専用船事業
ドライバルク部門は鉄鋼原料、電力炭、木材チップなどの長期契約による安定収益確保の努力を進めた結果、競争力あるケープサイズバルカー船隊などの拡大に加え、スポット市況が第3四半期を通じ前期を大幅に上回るレベルで推移。船舶燃料油価格の上昇があったものの、第3四半期の利益は前年同期を上回った。
自動車船部門については、日本・極東出し航路、三国間航路とも好調な荷動きの下、大型新造船の順次投入により輸送台数も増加したことから、第3四半期の利益は前年同期を上回った。
油送船・LNG船部門は原油、メタノール、LPG、LNGの長期輸送契約による安定収益が業績を下支えしたほか、原油船・石油製品船のスポット市況が夏場まで堅調に推移した結果、四半期利益は前年同期を上回った。
③ロジスティクス事業
航空貨物輸送事業は、主要子会社商船三井ロジスティクス(株)、そのグループ会社の貨物取扱量が堅調に推移し、四半期利益は前年同期を上回った。
④フェリー・内航事業
フェリー事業は、船舶燃料油価格の上昇が損益圧迫要因となったものの、堅調な荷動きに加え、燃料油価格変動調整金による燃料費上昇分の補填及びコスト削減を推進したことで、四半期利益は前年同期並を確保した。
内航事業は荷動きが堅調だったものの、新造船の償却負担が増加したことにより、四半期利益は前年同期を下回った。フェリー・内航事業全体では、前年同期を若干下回った。