日本インフォア・グローバル・ソリューションズは、グローバルなWMS(倉庫管理システム)市場で、トップのパッケージ「Infor WMS」を提供している。
日本ではEXceedという製品名で、1990年代後半から大手メーカーを中心に導入が進み、現在では、パッケージの機能強化が進み、メーカーだけでなく、3PL、小売り、卸など広範囲での利用が進んでいる。改めて最新の「Infor WMS」について、エンタープライズソリューション・ビジネスコンサルティング本部の村上勇人ビジネスコンサルティングマネージャーに、伺った。
――Infor WMSの位置づけは
サプライチェーンにおいて、問題がいろんな形で複雑化して難しい問題を抱えていますが、物流センターを起点にしたサプライチェーンの問題解決という事を一つの大きな方向として考えています。
物流センターを基点にして、サプライヤーからエンドユーザーまでの大きい流れのなかでいろんな問題がありますが、物流センターが重要な一つの問題解決の重要な要素になります。
元々、最初のEXceedは、米国での3PL企業の台頭にあわせて商品化された経緯があります。
このため、いかにメーカーの物流コストを削減し、物流施設を効率的に管理運営するかや、製造部分から販売先までの物流業務を見える化であったり、情報精度の物流品質の向上を図ることであったり、3Pl企業、メーカーといった顧客への貢献を広げてきました。
そして、SCM視点では、広くサプライチェーンのソリューションとしてエンド-エンドSCMソリューションを提供しており、Infor WMSは、その中で重要な位置を占める製品となっています。
――Infor WMSの経緯は
最初はEXceedですが、日本では1998年に法人化し、そこから日本語化した製品の販売を開始し、最初のバージョンは2.Xでしたが、2000年にメジャーバージョンアップとして、3.0にあげました。
そして、2007年3月に9.0という新しいバージョン名にしましたが、正確には4.0で、そこから今に至っています。直近のバージョンは、9.1.3が最新のものです。
一方で、最初の実装はクライアントサーバとして、マイクロソフトのウィンドウズプラットフォーム上で、DBは、MS SQLServerという構成でしたが、現在ではJAVA、SOA等の最新の標準的なテクノロジーに基づいたWMSパッケージになっています。業務機能は、長年の間の蓄積を保持して、足腰は最新のテクノロジーを実装したWMSという事が出来ます。
――Infor WMSの特長は
20年以上の経験から、ほとんどの物流施設に関わる機能をそろえており、ここまで網羅しているWMSはないものと自負しています。
入荷、引当、出庫、棚入、ピッキング、補充、在庫、照会、棚卸、マスター、ドキュメント管理、進捗管理、MH連携、クロスドック、RFIDなど各種デバイスなどへの対応など業務機能の充実度と最新の標準的なテクノロジーをのせたというところです。
パッケージとして、導入企業にとってのカスタマイズ、要件設定などが大幅に改善された結果、導入稼働までが短期間で対応できる面が、最新のパッケージの重要な特徴の一つだと思っています。
――日本での導入実績は
実際の実績では、電気、消費財系、食品、医薬関係、自動車などのトップクラスのメーカーで稼働しています。3PL、卸、小売といった分野等、幅広い業務形態に対応して、多数の利用が進んでいます。
特に、InforWMSの特長として、二つの機能を取り上げたいと思います。
―グローバルロジスティクスへの対応
一つは、国内の物流の考え方を大きく変え、且つ、近年は、グローバルロジスティクスのキー要素として、大きくクローズアップされている機能ですが、所謂、クロスドックの機能になります。標準的な業務フローとして、大きく3つからなります。従来、POリンクのフロースルーが主流として使われ、国内の物流センターの革新的な使い方を実現して来ました。
近年は、BOタイプのフロースルーや、トランシップの機能も使用して、グローバルロジスティクにおいて、トランスローダファシリティをフローオペレーションの核にするといった使用がなされて来ています。そのようなオペレーションを実現するために、InforWMSがグローバルロジスティクスの重要なソリューションとして使用されているのが実情です。
他に、多言語対応、タイムゾーン対応、Web化、複数拠点、複数サーバ構成によるスケーラビリティ等、グローバル拠点を管理するための強力なWMS要件を備え、グローバルロジスティクスを実現するための強力なソリューションとして考える事が出来ます。
―倉庫オペレーションの人手作業の生産性強化の仕組み
もう一つの特長的な機能として、タスクマネジャ機能を上げたいと思います。タスクマネジャは、製品の開発当初から実装されている基本的アーキテクチャですが、近年、機能強化の最も著しい領域になります。
倉庫業務のシステム構築にあっては、マテハンを導入する流れと、コストの安い労働力によるフレキシブルな運用との、大きく2極があり、また、より柔軟性を考えれば、それらの混合のパターンも多くの場合、見受けられます。
自動化、システム化の観点からは、人手ベースの業務運用においては、WMSによる生産性管理の仕組みが重要になります。システムが作業指示データを作成し、作業者はシステムからの指示に従って作業を行なう、所謂、システム主導の作業形態とも呼ばれるものです。
無線端末による庫内作業により、倉庫内のリアルタイムなオペレーションを可能にして来ましたが、一歩進んで、指示の割当と操作の順番をコントロールする事により、人手による作業のシステム化が現実的なソリューションとして簡単に導入出来るようになっています。倉庫の生産性管理、労務管理のレベルが標準のWMSにおいて、高度なレベルにまで実装されて来ています。
――アドバンスWMSとは
製品としての所謂WMSコア機能以外に、アドバンスWMSと呼んで、サプライチェーンのエグゼキューションという領域に対して、拡張モジュールを用意しています。受注管理、労務管理、請求管理、RFID/ボイス、輸送管理、情報管理などです。これらの機能を総合してこそ、本当の意味での最新のWMS要件に対応する事が出来ると考えています。
生産性管理については、更に、人手による作業の効率を追求する仕組みとして、労務管理モジュールをリリースしました。このモジュールは、標準作業工数エンジンを備えた、高度な庫内作業の生産性管理機能を提供するモジュールになっています。
―3PLビジネスのためのアクティビティ・ベースの請求処理
もう一つの拡張WMSモジュールとして、3PLビリングとも呼びますが、請求処理モジュールをリリースしました。これは、従来、製品の中に実装していた機能ですが、WMSのコア機能と同じサーバでは使うには、いろいろパフォーマンス上の問題もあり、別サーバにて運用出来る仕組みとして、リリースしました。今後、アクティビティベースの3PL業務向けの請求処理に対する強力なソリューションとなると考えています。国内で標準的に必要になる3期制の保管料計算には、もちろん、対応しています。
―情報管理、分析機能の提供
情報管理機能は、WMSの中の帳票機能以外に、BIS(ビジネス情報サービス)として、InforIONに基づく仕組みを提供しています。これは、インフォアの保守契約を頂いているお客様には無償で提供する仕組みですが、Infor MyDay、Infor Decisions、それの拡張機能として、Infor PM(Perfomance Management)製品をベースにして、業績管理ソリューションの構築が出来るプラットフォームを提供しています。
―TCO削減、バージョンアップ対応について
Infor WMSは、Java、SOAという標準的IT技術にもとづいた強力なテクノロジープラットフォーム上に構築されており、将来的にみて、安定的に、ローコストな維持管理が出来る仕組みとなっています。特に、従来良く問題になっていましたが、導入時にカスタマイズしたために、後で、バージョンアップが出来なくなるという問題がありましたが、この点に関して、特に、カスタマイズ方法のルール化を徹底しています。
製品のベース機能といわれる所は変更しないで、その差分として、機能変更を行なう方法を徹底する事により、将来、バージョンアップ時に、スムーズな移行が出来るようにする事を目的としています。この点を考慮して、カスタマイズ、導入をする事により、お客様は、自前でソフトウェアを開発、維持する費用を削減し、逆にその分をメーカーの開発費用に期待出来るというメリットを享受する事が出来るようになります。
――WMSへのニーズについて
お客様には、独自に作りこんできているWMSをリプレースしないといけないなり、パッケージに切り替えたいと考えておられるケースもまだまだ多いと考えています。また、物流の戦略的な見直しによると思いますが、物流センターの移転、集約といったことを計画し、その機会に新システム導入を計画されている方も多いと思っています。
通販とか、最近のネットビジネスの動向に対応して、著しい変化をしている業界だと思いますが、差別化、囲い込み要因として、物流にかける期待は、相当大きなものがあると思っています。また、3PLビジネスは、本格的な発展期に入り、これから、まずます競争が激しくなると見ています。
これらの動きの中で、今日ご紹介した弊社のWMSパッケージは、いずれの要件にも、相当、高い実装レベルに達していると思っています。お客様が、ビジネスで勝ち組になるために、スピード感とコスト感が大変重要と思っていますが、従来のような手作りの文化では難しいのでは?と思っています。勝ち組になるための必須ツールとして、是非、一度、ご検討頂ければと思っています。
■Infor WMS詳細情報
http://www.infor.jp/solutions/scm/wms/