(株)日立製作所ユビキタスプラットフォームグループ(以下:UBグループ)は、ディー・エイチ・エル・ジャパン(株)(以下:DHL)との連携により世界規模のロジスティクス改革である「Lプロジェクト」を実施し、日立は抜本的なBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング:業務の根本的改革)の実現による高効率経営システムの実現を目指す。
プロジェクトは、海外販売拠点の倉庫を使用せず、日本や海外の生産拠点から直接顧客宛に商品を72時間~96時間以内に直送する事により、連結ベースで7割の総在庫の削減を目的とし、それによるキャッシュフローの向上、周辺システムのIT化による業務効率の改善と顧客満足度の向上を目指す。
7月より欧州地区で販売の液晶プロジェクタによる部分的試行を実施済みで、来年度4月より欧州全地域に展開し本格導入を図り、順次米州、アジア地区と導入し、05年度を目途に全世界展開を完結させる予定。
UBグループは、主要取り扱い製品である液晶プロジェクタ、プラズマテレビ及び監視製品の流通に対し、本改革を実施する。
これにより得られる効果は、全世界向けの液晶プロジェクタのロジスティクス費用削減だけで年間約1.8億円を見込んでいる。
更に、これまで各現地法人のリスクとなっていた市場価格変動時また販売不振時における市場在庫の偏在対応費用を、今後生産拠点で集中管理することにより、製品、部材の流動的な転用、活用を可能にする仕組みを構築し、連結ベースでの大幅なロスコスト削減を狙う。
将来的には生産拠点在庫を受注生産(BTO)方式に切り替える事で棚残を減らし、顧客在庫を含めた総流通在庫を現行の3ヶ月分から1ヶ月分まで削減する計画。
従来までのUBグループ主要製品(液晶プロジェクタ、プラズマテレビ、監視製品等)の海外での販売は、それぞれの国の販売会社が個別に倉庫を持ち、その倉庫に製品在庫を保持する事で顧客からの注文に応じて配送する仕組をとっていた。しかしながら、この手法には問題点があった。
従来の流通の問題点
1. 配送リードタイムの長さ
製造拠点での出荷から顧客に製品を納入するまでに長期間(約70日間)かかった。それにより、連結ベースでのキャッシュフロー上の大きな問題があった。
2. 在庫の偏在
海外拠点毎に在庫を持つ形態のため、ある国では足りない製品がある国の倉庫では余っているといった在庫の偏在が生じていた。その結果、大幅な市場環境の変化による需要変動に対応できず、在庫切れによる販売機会の損失や過大在庫による評価損を計上する状況に陥っていた。
3. 海外現地法人の関連コスト上昇
毎年、全ての製品に渡り発生する価格ダウンに対し、現地法人の固定費は上昇し続けており、収支は年々厳しくなる一方だった。この問題は従来の改革手法では克服不可能であり、柔軟な発想による抜本的な経営改革が求められていた。
本プロジェクトにより、次のような流通の仕組みを構築する。
Lプロジェクトの流通
1. 新たなロジスティクスの仕組み
DHLの、輸入通関方法などに付加価値を加えた輸送サービスであるブレーク・バルク・エクスプレス(BBX)により製品を生産拠点から顧客倉庫へ72時間~96時間以内に直送する。
2. 上記仕組みをサポートするITシステム構築
現地販社・日本側を共にサポートするITシステムを整備。具体的なIT施策は下記の通り。
■受発注支援システム
販売会社からの注文書を、自動的に製造拠点あての出荷指示伝票に読み替えて伝送するシステムの構築
■営業向け・顧客向け拠点のリンク
オンタイムで市況の変化を把握しタイムリーな営業活動(価格、商品計画等)を可能にするために、顧客を含む全拠点をリンクし、受発注状況、配送情報、生産計画を共有で可視化できるシステムの構築
Lプロジェクトによる効果
1.費用削減効果
従来、販社倉庫の運用により工場出荷~顧客への納入まで70日間かっかっていたのを、直送システムを導入することで中間点の在庫をなくし、受注から納入までを72時間~96時間に短縮し、大幅なキャッシュフローの向上を目指す。
2.販売業務効率化
受発注支援システム構築によるIT環境の整備により、今までの伝票発行業務等にかかっていた業務を大幅削減し、営業が本来の受注活動に専念できる体制を整備。さらに、日々の受注状況から、市場のトレンドをオンタイムで把握できることにより販売機会の最大化を目指す。
3.CS向上
下記の点においてCS向上にも寄与し、結果的に日立の非価格競争力を強化する。
■直送化により流通在庫の削減までを目標としているため、結果的に顧客のコスト負担が軽減される。
■顧客ポータルシステムおよびDHLの貨物追跡システムにより、顧客の発注した貨物が現在、流通過程のどこにあるか逐次検索可能になる。
■直送に切り替える事で中間のタッチポイントが減り、貨物の損傷や盗難等の可能性が減るため、結果的に保険料率も軽減される。
日立UBグループは、最終的には現地法人の在庫ゼロを目標に、究極のSCMオペレーションを目指す。DHLは、今後も総合ロジスティクスプロバイダーとして、陸、空、海の幅広い輸送網と、ロジスティクスの専門性を生かし、あらゆるニーズに柔軟に対応する。
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日立製作所/DHLとの連携により世界規模のロジスティクスを抜本改革
2003年10月30日/未分類
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