三井造船は9月17日、今後増大する海洋油田開発を見越し、新たな浮体式海洋油田・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)用船体の開発を進めてきたが、開発が完了したと発表した。
開発したのは、船体に石油・ガス生産設備を合わせるのではなく、生産設備に応じた船体を柔軟に計画できる次世代FPSO用船体「Mitsui noah-FPSO Hull」(noah:New Offshore Adapted Hull)。
「noah-FPSO Hull」は船体の船首尾端部と平行中央部をそれぞれ独立に考えることにより、設計や建造の柔軟性を大幅に高めた。
各プロジェクトに応じて平行中央部の長さを変えられるモジュラー設計方法「noah flex-modular construction」を採用している。
船首尾端部のみから構成される自航可能な船体と、平行中央部とをそれぞれ別な造船所で建造することも可能にしている。
これまで、海底油田は、地理的位置による環境条件の違い、油の性状の違いによって、必要となる設備が大幅に異なるために、プロジェクト毎に専用のFPSOを計画・建造する必要があり、期間、コストの低減が大きな課題だった。
従来、船体を共通化することのみを主眼とした標準FPSOやジェネリックFPSOが提案されてきたが、これら問題点の解決は困難だった。
「noah-FPSO Hull」の画期的な設計、建造方法を開発するにあたって、米国船級協会との共同開発プロジェクトにより、米国船級協会から基本承認を取得した。