三井住友建設は12月18日、超高層マンションなどの主要構造体として用いるプレキャスト(PCa)部材の生産管理で、さらなる高品質化と生産性向上を実現するIoTを活用した次世代PCa生産管理システム「PATRAC(パトラック/Precast Automatic TRACing system)」の開発に着手したと発表した。
第一弾として、出荷工程管理システム「PATRAC-DL(DeLivery)」をグループ会社のPCa製造工場で導入し、都内で施工中の超高層マンションの建設現場に適用した。
PATRAC-DLは、製造したPCa部材に貼付したRFIDタグと、既存の生産管理システムデータベースの情報とを互いに関連づけ、システム上で出荷までのトレーサビリティ(検査、保管場所、出荷予定日、出荷・搬入など)を一括管理することが可能。
RFIDタグを自社開発アプリ搭載のスマートフォン一体型リーダーで読み込むことで、PCa部材にマーキングされた情報を目視する従来の方法と比べ、大幅に確認作業時間を短縮できる。
また、工場内の複数エリアでリーダーによる読み込み作業を同時に行うことで、リアルタイムに進捗情報を共有でき、作業時間の短縮など、製品の出荷工程管理における業務効率を向上できる。
三井住友建設はPATRACによって、PCa部材の生産に係るヒト・モノ・コストの情報を可視化し、業務プロセスの最適化を図るとともに、全生産プロセス情報の一元管理によるトレーサビリティシステムの構築や、設計・製造・施工まで一連の生産・供給プロセスにおけるシステム化とオートメーション化を推進する方針。
今後は、建設現場での省力化・省人化ニーズがさらに高まることから、グループ会社を含む全国5か所のPCa部材工場を強みとし、PCa化による高品質化と生産性向上のための技術開発に注力。特に、ICT/IoTを積極的に活用し、自動搬送などの技術革新を取り入れるなど、PCa製造工場のオートメーション化を推進していく。