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日通総研/2021年度の国内貨物輸送、微増もコロナ前水準下回る

2021年03月30日/調査・統計

日通総合研究所は3月30日、「2021年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」を発表した。

それによると、国内貨物輸送の2021年度の総輸送量は2.4%増と小幅ながら4年ぶりにプラスに転換する見通し。

品類別の輸送量は、消費関連貨物が個人消費の持ち直しの動きが弱いことから3.4%増にとどまり、コロナ以前(2019年度)の水準を下回るとしている。

生産関連貨物は、2020年度の大幅減の反動から荷動きの回復が見込まれ5.4%増に。一般機械、自動車などの生産が回復し、部品類も含めて比較的高い伸びを期待しているほか、化学工業品、鉄鋼、石油製品などにも持ち直しの動きを予測している。

建設関連貨物は、公共投資に増加が予測されるものの、大規模土木工事の執行が期待できないほか、住宅投資も伸び悩み、1.5%減と引き続きマイナスの見通し。

一般貨物は、4.5%増と予測している。

また、輸送機関別の輸送量は、JRコンテナが2020年度の大幅減の反動に加え、専用列車新設の効果などもあり4.6%増を見込む。JR車扱は、大きなウエートを占める石油の需要回復が見込まれるため3.8%増と4年ぶりのプラスに。JR全体では4.4%増と2年ぶりのプラスになると予測している。

営業用自動車は、消費関連貨物と生産関連貨物に総じて堅調な動きが見込まれる一方、新設住宅着工戸数の伸び悩みなどを背景に建設関連貨物が低調となり、トータルの輸送量は3.2%増に。

内航海運は、4.2%増と8年ぶりにプラスへ浮上。大きなウエートを占める石油製品、鉄鋼、化学製品を中心に生産関連貨物が増加に転じるほか、建設関連貨物もプラスへ転換する見通し。

国内航空は、供給力の減少などから大幅減となった2020年度の反動で42.3%増と8年ぶりの増加を予測している。

一方で、2021年度の国際貨物輸送については、外貿コンテナ貨物の輸出量が5.2%増とプラスの見通し。新型コロナ収束・世界経済の回復拡大、コロナ・ショックからの反動増で3年ぶりのプラスに転換するが、貨物量はコロナ以前の2019年度の水準を下回るとしている。

輸入量については3.0%増とプラスの見通し。消費材について個人消費の回復により上期から活発な荷動きを見込んでおり、7~9月期には2020年度の大幅減の反動増も期待。設備投資は下期にかけて回復し、生産用部品・部材類や機械類の輸入は、前年度を上回る水準を見込んでいる。

また、国際航空貨物については輸出量が16.5%増とプラスの見通し。上期はコロナ・ショックの大幅反動増も期待され、貨物量はコロナ前の2019年度を上回る水準を見込んでいる。半導体関連(電子部品・製造装置)はAI・IoT・5Gの普及本格化を受けて増勢が拡大し、自動車部品もEVシフトや電装化関連の需要が高まり、堅調に推移する見通し。米中対立・貿易摩擦の長期化や半導体関連の対中取引規制は、引き続き下押し要因になるとしている。

輸入量は5.2%増とプラスの見通し。上期は、新型コロナワクチン等の医薬品・医療関連の緊急輸入増・特需が期待されるほか、新たな貿易協定(日英EPA発効・RCEP合意)に伴う輸入関税低下による押上げの可能性もあるとしている。消費財は個人消費の回復により上期に増勢が拡大する見通しで、巣ごもり消費・テレワーク関連の荷動きは引き続き堅調に推移する見通し。生産財も設備投資の回復で下期にかけて荷動きが活発になり、プラスに転換すると予測している。

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