デンマークのロボットハンドメーカーであるOnRobot(オンロボット)は1月20日、都内で会見を開き、新たにクラウド型ロボット制御プラットフォーム「D:PLOY(ディープロイ)」の提供を開始したと発表した。
D:PLOYは、ロボットを制御するアプリケーションを稼働させるために必要な協調アプリケーションの構築、実行、モニタリング、再配置といった作業(デプロイ)を自動化できる汎用ロボットコントローラー。
プログラミングが不要で、デプロイを製造や物流などの現場で直接かつ簡単な手順で行うことが可能。ワークピースの特長やピッキングする位置など、少量の情報を入力するだけで、プログラムロジック、シグナル交換、イベント処理、ロボットモーションを自動的に作成する。
現時点ではユニバーサルロボット、オムロン、ファナック、DOOSAN、デンソー等のアームロボットに対応しており、対応メーカー数は今後拡大予定。ハンド部分はオンロボット製のみ対応する。
<オンロボットのハンドを用いたパレタイズの実演>
また、ロボットアプリケーションは、パレタイジング、CNCマシンテンディング、パッケージング、移動(ピックアンドプレース)の4つに対応。今後はその他のプロセス向けにも対応していく。
パレタイジングのアプリケーションの場合、デプロイに要する時間は40時間から4時間に90%短縮することが可能。積載する荷物のサイズ、重さ、数、パレットサイズといった数点の情報を入力するだけで、D:PLOYが自動でロボットの動きを計算してくれる。要件に変更が加わっても、新しい製品やワークピース向けにアプリケーションを再度迅速にデプロイできる柔軟性も備えている。
オンロボットは2018年に創業。これまではアーム型ロボットのハンド部分の開発や製造を行ってきたが、今後はソリューションプロバイダーに舵を切る。その第1弾として提供したのがD:PLOYだ。
都内で開催した記者会見では、オンロボットのエンリコ・クログ・アイベルセンCEOが「技術の進歩でロボットのハード自体は扱いやすくなったが、アプリケーションの構築は今でも複雑な作業だ。日本だけではなく、世界全体でロボットアプリケーションを構築できるエンジニア(SIer)が不足しており、これが製造や物流といった現場の自動化を妨げている」と、オートメーションの課題を指摘。その上で、「D:PLOYはこの問題を解決することができる。1件あたりの作業時間が90%削減されることで、エンジニアはより多くの顧客に対応することができる」と強調した。
また、他社の汎用ロボットコントローラーとの違いについては、「D:PLOYはアプリケーションの展開や導入を全て自動で行う。ユーザーはプログラミングをする必要がない。従来のプログラミングツールとは異なる全く新しいプラットフォームだ。もう一つ、あらゆるロボットに対してUIが単一な点も特長だ。PCはWindowsが登場したことで幅広く一般にも使われるようになった。D:PLOYもWindowsと同様に多くの企業を支援できるソリューションだ。D:PLOYがあれば誰でもロボットのエキスパートになれる」とコメント。
今後の事業展開については、「沢山のソフトウェアを提供していく。協働アプリケーションのグローバルリーダーになりたい」と意気込みを語った。
<ジェームズ・タイラー アジア太平洋地域ジェネラルマネージャー>
オンロボットのジェームズ・タイラー アジア太平洋地域ジェネラルマネージャーは、「D:PLOYは、全く新しいコンセプトのロボットコントローラーだ。皆さんもスマートフォンにアプリを入れていると思うが、アプリを使用するのにコードを書く必要はないだろう。D:PLOYもそれと同様で、ユーザーはD:PLOYの使い方を理解するだけでロボットアプリケーションを稼働させることができる」と、D:PLOYについて説明。
また、「この数日間D:PLOYを顧客に紹介してきたが、すでに多くの引き合いがある」と、セールスの順調さをアピールした。
D:PLOYの日本での展開については、オンロボット日本法人の鈴木孝カントリーマネージャーが「代理店を通じての販売となるが、初年度の販売目標は100台を目指している。ロボットによる自動化を加速したい大手の物流企業に加え、これまでは自動化が困難だった中小の企業にもD:PLOYを活用して自動化を実現してほしい」と語った。