Amazonは3月2日、オートロック付きマンションでの受け取りを便利にする「Key for Business(KfB)」の導入について、三井不動産レジデンシャルリースと初めて協業することを発表、都内で記者会見を行った。
<「Key for Business(KfB)」導入で協業を発表>
Amazonでは再配達削減に向け、3年前から「置き配」に取り組んでいるが、オートロック付きマンションでは、顧客の不在時にドライバーがマンション内に入館できず、再配達となることが課題となっていた。
「Key for Business(KfB)」は、こうした課題を解決するためAmazonが開発したテクノロジー。KfBを導入したマンションでは、Amazonの委託先ドライバーが配送する商品を持っている時に限り、配送アプリからオートロックを解除して入館し、顧客が指定する場所に商品を届けるという仕組み。これにより、顧客は不在時や在宅中で手が離せない時でも商品を受け取ることができ、再配達による配送ドライバーの負担軽減にもつながる。なお、オートロックの暗唱番号がドライバーに伝わることなはく、ドライバーが配送を完了した後は、ロック解除権限がなくなり、それ以降は入館できなくなる。Amazonは、2021年3月から日本にKfBを導入し、2022年2月末時点で5000棟以上のマンションに設置を完了しており、導入対象地域は首都圏を中心に19都道府県に拡大した。
<アマゾンロジスティクス事業本部 アヴァニシュ・ ナライン・シング 部長>
会見では始めに、アマゾンロジスティクス事業本部のアヴァニシュ・ ナライン・シング 部長が登壇。「今回の協業は、入居者の安全を守りながら、より便利な暮らしを提供したいという三井不動産レジデンシャルリースの思いと、より多くのお客様に確実に商品をお届けしたいというAmazonの思いが合致して実現した。業界のトップランナーである三井不動産グループが、オーナーとともに安全な『置き配』を選択する決断をされたことは、我々にとって大きな意味のあることだ。これがマンションへの配達を変えるきっかけとなることを信じている」と挨拶。
続いて、三井不動産レジデンシャルリース 中村 誠 経営企画部長が「荷物の多様な受け取り方を可能にすること、一方でセキュリティを担保するための解決方法となるだろう。宅配の再配達は重要な社会問題であり、物流業界のみならず、不動産業界の立場から課題解決の一助となることを期待している」と抱負を語った。
三井不動産レジデンシャルリースは、首都圏を中心に賃貸住宅をメインとしたプロパティマネジメント(運営管理等)事業を展開している。2021年からAmazonと共同でKfBの実証実験を進めており、今回の協業へとつながった。今後、同社が運営管理する賃貸マンション(7万8000戸:2022年2月現在)に対し、建物所有者の承諾を得た物件から順次、KfB導入を進め、初年度の導入目標2500棟を目指す。
KfBの導入は、マンションのドアを制御するシステムに専用の機器を設置するのみ。工事の所要時間は60分程度で、初期費用、月額利用料は無料。
物流の2024年問題が迫るなか、経産省及び国交省では4月を「再配達削減PR月間」と位置づけ、広報活動を行う予定だ。アヴァニシュ・ ナライン・シング 部長は「KfBは、国の施策やドライバーの負担軽減に資するものと考えている。今回の協業を第一歩に、2023年さまざまな学びを経て、今後KfBが宅配の新たなスタンダードになることを期待している」と展望を語った。
<Key for Business(KfB)導入イメージ(動画)>
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