タイのSiam Cement Group(サイアム・セメント・グループ、以下SCG)とトヨタ自動車、CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)は4月3日、タイにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた協業を進めるべく、基本合意書を締結した。
<写真左から 中嶋裕樹CJPT社長、片山正則いすゞ自動車会長 CEO、Roongrote Rangsiyopash SCG社長兼CEO、佐藤恒治トヨタ社長兼CEO、小木曽聡 日野自動車社長 CEO>
1987年、SCGとトヨタは共同でエンジンの製造会社「Siam Toyota Manufacturing Co., Ltd.」を設立し、翌年にはSCGが、トヨタのタイ現地法人「Toyota Motor Thailand Co., Ltd.」に資本参加するなどつながりが深く、以降、SCGとトヨタは、タイ社会・経済の発展とともに事業を成長させながら、長年にわたり強固な信頼関係を深めてきた。
これまで太陽光や水力発電による電力活用を検討、カーボンニュートラルモビリティ試乗会を開催するなどしてきたが、今回、さらに協業範囲を広げ、エネルギー、データ、モビリティの3領域で、タイの資源を活かし、タイならではのカーボンニュートラルへの取り組みを進めていくことで合意に至った。
「エネルギー」領域では、バイオマスや廃棄食料など、これまで見過ごされてきた資源を活用した水素製造や、他国に先行する太陽光や水力を活用した発電などタイの豊富な資源を活用することで、タイならではの再生エネルギーを活用、「データ」領域では、発展著しいタイの通信基盤と、SCGとCJPTの有するビッグデータを活用することでモノの流れや人の流れを効率化し、「今すぐできるCO2低減」を実現。「モビリティ」領域ではタイのエネルギー事情や経済状況、走行距離や積載量といったお客様の使われ方に応じ、HEVやBEV、FCEVなど様々な電動車を提供し、より低燃費な車両への置換を含め、多様なニーズに応えながら着実にCO2を低減していく。
今回の合意について、SCGのRoongrote Rangsiyopash社長兼CEOは、「このプロジェクトは、国際的な先進企業の技術革新を促進するだけではなく、2050年までにカーボンニュートラル、2065年までに温室効果ガス排出量ゼロを達成するというタイの目標に向けて、地球温暖化の危機に対する産業界の協力を促す重要な役割を担っている。これは、SCGの ESG 4 Plusの考え方とも合致する」と述べた。
トヨタの佐藤恒治社長は、「昨年12月、SCGと当社のトップ同士が面会した際、『タイのためになることは仲間と共に実行すべき』との強い想いを共有できたことが今回の公表に繋がった。長年、パートナーとして多大なるご協力をいただいているSCGと協業を進められることとなり、大変心強く思っている。SCGやCJPTとともに、私たちのタイ事業を支えてくださっているタイに恩返しができるよう、カーボンニュートラルに向けた歩みを加速していく」との想いを語った。
CJPTの中嶋裕樹社長は、「CJPTは今回の協業を通じ、タイの人流・物流を改革しながら、今すぐできるCO2削減に、様々な仲間とともに取り組んでいく。タイ社会への感謝の気持ちを大切にしながら、人々の生活の質の向上に貢献していきたい」と話した。