国土交通省では、港湾労働者不足対策アクションプラン(2022年7月)の取り組みの一つとして、事業者間の協業を促進することで港湾労働者の不足に対応するため、港湾運送事業法施行規則の一部を改正したと発表した。
近年、港湾労働者の不足が全国的に深刻化していることに加え、船舶の大型化の進展に伴い一寄港あたりの荷役量が増加しており、船舶の運航スケジュールや季節によって業務量が大きく変動することなどから、労働者数と業務量のミスマッチが生じている。
このような業務量の増減等に適切に対応するために必要な事業者間での協業を円滑に行うことができるよう、港湾運送事業の許可基準を弾力化する等の所要の改正を行ったもの。
改正の概要は、まず「事業計画の記載事項及び許可基準について」。従来は、恒常的な事業許可を得る必要があり、許可基準のハードルが高かった。改正後は一定の要件を満たした(特定限定許可)場合、許可基準を弾力化。
また、「みなし規定の特例について(一般港湾運送事業)」では、従来は、下請制限があり、原則3割までしか下請させることができなかった。改正後は特定限定許可を下請制限の特例に加えることで、下請制限を弾力化。
この制度の活用例(想定)として、大型船の荷役や土日祝の荷役等で自社のみでは人手が足りない場合。感染症クラスターの発生により、自社のみでは人手が足りない場合。大規模災害により、需要と供給が港湾間で一時的に著しく変動した場合。新規貨物の受注や既存荷主の撤退で、需要が一時的に著しく変動した場合、としている。
なお、国土交通省では、近年、港湾における物流の担い手不足が急速に顕在化してきていることを踏まえ、2020年12月から翌年1月にかけて全国の港湾運送事業者を対象に実施した「港湾労働者不足に関する実態調査」及び2022年に実施した経営状況に係る調査結果を受けて、今後講ずるべき施策として、1.港(みなと)のしごとを知ってもらう、2.働きやすく、働きがいのある職場の確保、3.事業者間の協業の促進、4.適正な取引環境の実現を柱とする「港湾労働者不足対策アクションプラン」を策定し、このプランに従って関係者と連携しつつ、所要の施策に取り組んでいる。
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