アスコットは8月23日、月末に竣工を控える同社の第1号物流施設「アスコット・プライム・ロジスティクス（Apls）加須」を報道向けに初公開した。
＜アスコット・プライム・ロジスティクス加須＞
Apls加須は、東武伊勢崎線「加須駅」から徒歩15分でありながら、東北自動車道「加須IC」にも4kmと至近で、通勤と物流の利便性を両立した立地が最大の特徴だ。敷地は住宅地のど真ん中に位置しており、周辺からの雇用確保も期待できる。
用途地域は準工業地域で、24時間の操業が可能。埼玉県内への地域配送に加え、首都圏全域への配送も担える立地で、テナント企業は現時点で未定だが、精密機器や日用雑貨、3PL企業など幅広い業種からの引き合いを受けているという。
＜倉庫（3階）＞
＜トラックバース＞
＜垂直搬送機と荷物用エレベーター＞
建物は地上3階建て延床面積約8800m2のボックス型で、最大2分割での利用が可能。1階のトラックバースは1.0mの高床式で、2基のドックレベラーをそなえ、コンテナ貨物の入出庫にも対応できる。上下搬送設備は、荷物用エレベーター（3.5t）1基と、垂直搬送機（1.5t）2基を設置。天井高は1･2階が5.5mで、最上階の3階は最大6.2mを確保した。事務所スペースは1階エントランス横に1か所配置。トイレは各階に1か所ずつ設け、労働環境の向上に配慮している。
＜染谷 不動産投資事業本部長＞
アスコットによる物流施設開発への参入は、マンションを中心に手掛けてきた不動産開発事業の多角化を図るための取り組みで、第1号物件となったApls加須は、構想に着手した2020年から約3年がかりで完成を迎えることとなった。
同社が開発する物流施設ついて、染谷 哲也 執行役員 不動産投資事業本部長は「駅チカ・IC至近といった立地のほかに、地域や住民との調和も重視している」と語る。これは、アスコットがデザイナーズマンションの開発で培った知見を基にしたものだ。
「マンション開発では、その土地の歴史や文化を踏まえた『ストーリー』をデザインに反映することで、地域に根差した物件を開発している。これを物流施設にも取り入れることで、無機質な嫌悪施設として捉えられていた従来の物流施設へのイメージを払拭するとともに、地元の人が愛着を持って働ける施設を作りたかった」と染谷氏。
Apls加須では、加須市が関東有数の「鯉のぼり」の生産地であることから、外壁に風になびく鯉のぼりをイメージしたデザインを施した。また、外構にはこれも加須市の名物である「うどん」をイメージした形状のベンチを設け、地域住民が休憩所として利用できるようにしている。ベンチの素材には、うどんのツルッとした質感を再現するために大理石を使うこだわりようだ。そのほか、外構に設けた塀は夜間にライトアップを施し、夜道を照らすことで地域の安全にも役立てる。
＜名産のうどんをイメージしたベンチ（8月末完成予定）＞
＜4色にライトアップされた塀（ナカノフドー建設提供）＞
アスコットはApls加須のほか、福岡県小郡市と仙台市宮城野区で物流施設の開発に着手（小郡市の物件は共同開発）しており、それぞれ2024年の竣工を予定している。いずれの物件も、最寄り駅から徒歩圏かつIC至近の好立地だ。
同社では、開発用地の取得など物流施設開発に年間100～150億円規模を投資しており、今後も東名阪などの大都市圏にある駅チカ・IC至近の土地を候補に、ラストワンマイルの一端を担う施設の開発に取り組んでいく。
■「アスコット・プライム・ロジスティクス加須」概要
所在地：埼玉県加須市土手2-17-19
アクセス：東北道「加須IC」4km、東武伊勢崎線「加須」駅徒歩15分
用途地域：準工業地域
敷地面積：5035.29m2
延床面積：8782.98m2
構造：鉄骨造・地上3階建
竣工：2023年8月31日
設計：スピリッツ・オフィス 一級建築士事務所
施工：ナカノフドー建設 名古屋支社
アセットマネジメント・プロジェクトマネジメント：オリックス不動産投資顧問
