自動運転技術を活用した物流インフラの構築を目指すT2は9月1日、都内で会見を開き、シリーズAラウンドで合計9社から総額35億円の資金調達を実施したと発表した。
同ラウンドでT2に出資したのは、宇佐美鉱油、東邦アセチレン、三井住友海上火災保険、三井倉庫ロジスティクス、JA三井リース、KDDI、紀陽キャピタルマネジメント、大和物流、三井住友信託銀行。これにより、T2による調達額は6月にプレシリーズAラウンドで三菱地所から調達した12億5000万円と合わせて47億5000万円に増加。株式の持ち分比率は既存の親会社である三井物産が約52%、Preferred Networksが約13%、三菱地所が約12%となり、残りを今回の出資企業が数%ずつ持ち合う。
調達した資金で、T2は技術系の人員を強化するなど、2026年の提供開始を目指すレベル4自動運転トラックを活用した幹線輸送サービスの開発を加速させる。
シリーズAラウンドの出資企業には、物流事業者、荷主、金融系など多様な顔ぶれが揃った。
宇佐美鉱油は、高速道路のIC付近に展開しているトラックステーションと呼ばれる給油所に車両整備機能を併設した拠点を活用し、自動運転トラックのドライバー切替や車両整備の拠点整備に協力する。三井住友海上火災保険は、損害保険を通じてT2によるサービスの安全性を担保する。
JA三井リースは、グループによるファイナンスや営業ネットワーク、ビジネスフィールドでの連携によってサービスの事業化を支える。KDDIは、自動運転トラックの遠隔監視等に適したモバイル通信の活用検討や、周辺技術の開発を進める。
三井倉庫ロジスティクス、大和物流、東邦アセチレンは、自社の物流課題解決にT2のサービスを活用するとともに、荷主・物流企業の立場でサービス開発に協力する。サービスの活用については、大和物流の木下 健治社長から「輸送の安定化だけではなく、荷主のニーズを汲んだ新しい物流サービスの提案を検討していきたい」という発言があった。
会見でT2の下村代表は、「4月までに高速道路区間での安定走行は実証できているので、今後は技術と車両の開発を進めて走行距離を伸ばしていく。政府が進める新東名『浜松ー沼津間』の自動運転専用レーンの整備にも、車両を提供したい」と今後の抱負を述べた。また、サービスの商用化に向けて「車両製作の面は今後も支援が必要。そこを支えてくれる仲間に加わってほしい」と、OEM企業等の参画を求めた。
T2では、2026年のサービス開始までに約80億円の資金を調達する予定で、最終的な資金額は130~150億円となる見通し。サービス化に向けて下村代表は「オールジャパンによる『チームT2』で、日本の物流を支えるというミッションに全力で取り組んでいく」と決意を語った。