日本海事協会は3月10日、大型コンテナ船や代替燃料船といった新船型の開発を支援すべく、直接荷重解析プログラムの検証および基盤データとして活用可能な水槽試験結果を公開したと発表した。
直接荷重解析は、大型コンテナ船や代替燃料船など、従来の簡易算式が適用できない新形状の船体強度評価に用いられる手法だが、本データを解析プログラムの共通基準とすることで、当該強度評価の信頼性や透明性が向上し、設計審査の迅速化にも寄与する。
公開データは大型コンテナ船と油タンカーの2船種で、形状や重量分布などの設計データ、運動特性や加速度といった試験結果を含む。
「直接荷重解析に基づく強度評価ガイドライン」では、代替燃料船等の新しい構造様式を有する船舶や、実績のない大きさの船舶に対し、それぞれの特徴を考慮した荷重に基づく精度の高い強度評価が可能となる方法を示している。
なお、この直接荷重解析の解析プログラムに使用される基盤データはさまざまであり、その内容によっては精度の改善が必要となる場合がある。そこで協会は、最新の計測機器を用いた大規模な水槽試験を行い、プログラムの検証用および基盤データとして利用できるベンチマーク試験データを公開したもの。
公開データを設計者と協会の共通基準とすることで、強度評価の技術的根拠の信頼性と透明性が高まり、より迅速な設計審査にもつながる。また、「直接荷重解析に基づく強度評価ガイドライン(第4版)」を発行し、プログラムの精度検証にあたり当該データとの比較検証を推奨する旨の要件を新たに加えた。なお、データは、他関連技術の使用・開発の際を含め幅広く活用可能だ。
日本海事協会/大型タイプCフルレフ式アンモニア専用貨物タンクにAiP