ジョーンズ ラング ラサール(JLL)は8月7日、2025年第2四半期のマーケットサマリーを発行し、ロジスティクスでは、東京、大阪、福岡の「ロジスティクスマーケットダイナミクス2025年第2四半期」を発表した。
それによると、東京ロジスティクスマーケットでは、堅調な需要が続き2025年第2四半期の純需要33万2000m2となった。新規供給が減少したため前期比では43%の減少となっている。輸送費の上昇によって都心に近い立地の物件は需要が強まる一方で、輸送距離が長くなる周辺部の物件は需要が弱まりリーシングに苦戦する物件も見られる。
2025年第2四半期は4棟合計35万8000m2の新規供給があり、総ストック面積は前期比1.5%増加している。全4物件が内陸エリアの供給で、うち2物件が圏央道エリアで供給された。東京圏全体の空室率は10.3%となり、前期比で変わらず、前年同期比64bps上昇している。ベイエリアの空室率は18bps低下し8.4%となり、内陸エリアの空室率は前四半期と同じく11.0%である。
今後の見通しとして、Eコマース等による堅調な需要拡大と建築コストの上昇が続き、賃料上昇が続くと予想される。ただし好立地の物件は顕著に賃料が上昇する一方で、空室率が高く輸送コストが増加している周辺部の物件は賃料下落の可能性もある、としている。
大阪ロジスティクスマーケットでは、堅調な需要と大量の新規供給によって2025年第2四半期の純需要は23万6000m2となった。Eコマース企業や3PL企業、小売業など様々な需要が見られ、大阪圏では東京圏ほど立地による需要の差は大きくないと考えられる。
2025年第2四半期は4棟合計36万6000㎡の新規供給があり、総ストック面積は 772万4000m2で前期比5.0%増加した。既存物件で空室消化が進んだが、新規供給物件によって空室面積が増加したため大阪圏全体の空室率は4.9%となり、前期比152bps上昇、前年同期比259bps上昇となった。
今後の見通しとして、賃貸市場では2025年後半以降にも複数の新規供給が予定され
ているが、予約契約が多数締結されており高稼働で竣工すると予想される。25年年末に受けて空室率は低下すると見込まれる。
福岡ロジスティクスマーケットは、堅調な需要が続いており、2025年第2四半期の純需要は2万6000m2となった。
2025年第2四半期は新規供給はなく、総ストック面積は160万8000m2で前年同期比12.0%増加している。福岡圏全体の空室率は3.1%となり、前期比160bps低下、前年同期比31bps低下となった。特に立地条件の良い内陸エリアで空室消化が進んだことで、全体の空室率を押し下げた。
今後の見通しは、2025年下期も、Eコマース需要や食品物流の拡大が続く見込みで、需給ひっ迫の状況が続くと予想される。空室のある物件が少なく、新規物件でも竣工前に契約が進む可能性が高いため、当面は低空室率が続くと見られる。ただし2026~2027年は鳥栖エリアなどで2024年を上回る新規供給が予想され、空室率上昇の可能性がある、としている。
JLL/東京圏は空室率と賃料共に上昇傾向、米国関税の影響は限定的