日本GLP/マルチ型冷凍冷蔵倉庫普及へ、荷物の逃がし先として建て替え需要にも

2025年12月10日/物流施設

日本GLPは12月10日、冷凍冷蔵物流施設のマーケットに関するメディア懇親会を開き、市場の動向を分析するとともに、日本GLPが開発に注力するマルチテナント型冷凍冷蔵物流施設について「ドライ倉庫のマルチテナント型が普及したように、これからは冷凍冷蔵倉庫も賃貸で」とアピールした。

<伊藤晋 営業推進グループシニアマネージャー>
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日本GLPの伊藤晋 営業開発部営業推進グループシニアマネージャーは、「日本GLPのマルチテナント型冷凍冷蔵物流施設は業界の標準仕様・基準となる物件を目指し、投資低減、柔軟性、環境配慮の3つをコンセプトとしている」と語った。

「入居する事業者にとって初期投資がかからず原状回復工事も不要。小規模区画で短期間の入居など、ドライ倉庫と同様に柔軟な契約ができる。脱フロン・省エネ対策として自然冷媒の採用もポイントだ」。

2025年11月末現在、日本GLPの冷凍冷蔵物流施設は、開発予定も含め33件、総延床面積は約40万m2になる。竣工済みのものは、すべて満床という。

<草原洵也 営業開発部シニアマネージャー>
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さらに草原洵也 営業開発部シニアマネージャーは、自社拠点が老朽化し建て替えを検討していた小川畜産食品が、荷物の逃がし先として短期契約した事例などを紹介。

「賃貸型の冷凍冷蔵倉庫は一般的に長期間の契約になることが多いうえ、そもそもドライ倉庫と違って賃貸物件が少ない。短期間で退去するのに原状回復費を払うのは負担が大きいという課題もある」など、営業活動で事業者から聞く悩みやニーズについて話した。

<みずほ銀行の南勇希アナリスト>
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コールドチェーン物流の業界動向について、みずほ銀行の南勇希 産業調査部次世代インフラ・サービス室社会インフラチームアナリストは、「全国の冷蔵倉庫の容積は冷凍食品需要の高まりなどを背景に増加しているが、特に東京・神戸・福岡では埋まっており、庫腹占有率はひっ迫している」と話す。

既存物件の約3割は築40年超で、建て替えが進まなければ供給制約になるが、建築費の高騰や、建て替え時の荷物の逃がし先を確保できないことがネックになっていると説明。

冷凍冷蔵倉庫の場合、必要な温度帯や広さなど個別性が高く、事業者が自前でつくることが主流だった。またデベロッパーは投資金額が大きいためドライ倉庫と比べ賃料を高額に設定せざるをえず、事業者側には「賃料が高い」となる。

しかし南氏は「コールドチェーン事業者とデベロッパーがそれぞれ抱える課題をすり合わせ、所有と運営の分離ができれば、マルチテナント型が広がっていくのでは」と見ている。

なお、日本GLPは冷凍冷蔵に対応した物流施設の開発を加速させようと、2017年から専門チームを立ち上げ、倉庫面積を拡充。今後3~5年で約2000億円を投資し、冷凍冷蔵の面積を計13万坪に大幅拡大する計画を掲げている。

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