日本GLPは8月7日、大阪府茨木市で進めてきた大規模物流施設開発プロジェクト「GLP ALFALINK(アルファリンク)茨木」の竣工を受けて、同施設で記者会見を開催した。
会見には帖佐 義之社長が登壇し、プロジェクトの経緯と今後の展望を語った。
「ALFALINK茨木」は、「ALFALINK茨木1」から「ALFALINK茨木3」までの3棟からなる先進的物流施設で、総延床面積は約32万m2、総投資額は約800億円となる。
「ALFALINK茨木」は、「ALFALINK」ブランドの第3弾として関西エリアでは初展開となる大規模多機能型物流施設。関西エリアのプライムエリアに立地し、2時間の運転で11府県に到達でき、配送可能な人口は約2800万人となる。
大阪府道14号沿いに位置し、名神高速道路、近畿自動車道、中国自動車道の結節点となる「吹田JCT」から約6.2kmとアクセスに優れ、近隣にトラックターミナル、卸売市場、鉄道貨物ターミナルなどの物流関連施設が集積し、物流拠点としての高いポテンシャルを持つ立地だ。
今回竣工した「ALFALINK茨木3」は、地上6階建て、延床面積11万5383.39m2の大型マルチテナント型先進的物流施設。
竣工前から1階の冷凍・冷蔵設備にアサヒロジスティクス、大商運輸、2階にハンワ、3・4階にサントリーロジスティクス、5階にケイシン、6階にイトーキという形で、計6社と賃貸借契約を締結済みで、最終一区画を残し92%の契約となっている。
「ALFALINK茨木」では、「従来の物流施設を超えた新たな価値を」をかかげて、周囲の住宅との親和を図る工夫がいくつもなされている。
倉庫棟には施設従業員専用のカフェテリアやラウンジを整備しているほか、企業間の交流を促進できるような内装となっているのもその一つだ。
倉庫外の来訪者もアクセスできる2階デッキ上には「ALFALINK」ブランドでは初めての取り組みとして、入居企業や物流業界にまつわる情報配信を促すギャラリーを配置。地域に開かれた施設として併設する共用棟と「GLP ALFALINK茨木1・2」へ直結するブリッジを設け、歩行者と車両の安全分離を実現している。
なお共用棟には、コーヒーショップのタリーズコーヒーが入るほか、敷地の入口には公園を整備し、築山や飛び石、ベンチなどを備えた地域の人々に憩いの場を提供している。
関西初進出となるALFALINKブランドの進展について、日本GLPの帖佐義之社長は、「物流施設を開かれたものにすることで、新たな段階へ進めていきたい」としており、物理的に開放する以外にも「各テナントと話をする中で、抱えている課題がテナント同士で組むことで解決することに気が付いた」ことから、「入居者同士で協力できるような体制を倉庫側で作ることを視野に入れるようになった」と述べた。
これは、従来は相互交流がなかった入居企業同士が組むことで、季節変動による人手不足の相互補助や、配送ルートの一括化といった高率化につながるケースが見られているのだという。
続けて帖佐社長は「競争相手から共創相手に」を掲げ、「物流業界の応援団になるのがわれわれの役目で、それを実現できたことが大きな手応え」だと述べた。
また、建設にあたって周囲に住居を構える人々への理解にも触れ「これまで現地民にとっては、物流施設開発のメリットがないことが問題だった。近くにできても楽しくない、うれしくない。むしろ交通渋滞などでメリットが目立つ存在だった」とし、「災害時の解放以外にも、日常でも解放して地域と一体になり、物流施設として新しい形を提示できた」と語った。
周囲の商業施設とALFALINK茨木を含む開発プロジェクト「イコクルいばらき」を推進してきた大阪府茨木市の福岡市長は、「茨木は大阪と京都の間で、多くの物が行きかう場所である一方、現代の需要に合致するか不安だったが、ALFALINK3棟のうち97%がすでに埋まっていると耳にし、モノが飛び交う地域性はいまだ健在であると実感した」と述べた。
「GLPは日本の物流施設のイメージを払拭したいということで、市民と地域の人々が一緒になるという考えに賛同した。今回の竣工で、イコクル茨木はほぼ完成に近づいた」とも語った。
市長は、物流施設と商業施設が併設されている、国内では非常に珍しい形式についても触れ、「物流は外せない社会的インフラ。川上から川下まで多くの人に知ってもらうことが大事。社会的インフラの大切さは市として伝えていく。物流も電気やガスと同じく重要であると伝えていきたい」と現在の考えを答えた。
■施設概要
施設名:「GLP ALFALINK 茨木3」
所在地:大阪府茨木市南目垣3-2-1
敷地面積:4万6802.83m2
延床面積:11万5383.39m2
構造:地上6階建て、PC免震造
着工:2023年11月
竣工:2025年7月
認証取得:LEED GOLD認証(予定)、ZEB認証(予定)
設計・施工:熊谷組・南海辰村建設 共同建設企業体
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