日本郵船は9月2日、同社が保有し三井物産に定期用船中のアンモニア輸送船「BERLIAN EKUATOR」が液化アンモニア約2万3000トンの大規模移送に成功した。
<オペレーションの様子。右側から、アンモニア輸送船「BERLIAN EKUATOR」と「ECO ENCHANTED」>
今回の大規模輸送は、スペイン・セウタ沖の公海上にて、大手アンモニアトレーダーのTrammo社が運航するアンモニア輸送船「ECO ENCHANTED」に対し、船舶に積載された貨物を船から船へ直接移送するShip to Ship(STS方式)で実施したもの。
同社はこれまで重油や液化天然ガス、液化石油ガスのSTS方式による移送実績はあるが、液化アンモニアでの実施は今回が初めてとなる。
STSの分野で豊富な経験を持つTrammo社およびSTS専門プロバイダーのInternational Fender Providers社の支援のもと、高度な安全管理体制とSTSオペレーションのノウハウを活用し、「BERLIAN EKUATOR」に貨物として積載していた液化アンモニアの全量にあたる約2万3000トンを安全に移送した。
アンモニアは既存の肥料・化学品用途に加えて、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして、船舶燃料をはじめ多様な用途での活用が期待されている。
今後の需要増加が見込まれる中、従来の陸上への荷役方式と比較して、港湾の規模や陸上設備の制約を受けないSTS方式は柔軟性の高い供給手段として注目されており、このオペレーションの成功はアンモニアの国際的な供給網構築に向け重要なものになるという。
日本郵船は今後、オペレーションを通じて得られた知見と経験を今後の事業展開に活かし、脱炭素社会の実現に向けた次世代燃料の普及と安全な海上輸送体制の構築に引き続き貢献していくとしている。