CBREは10月31日、2018年第3四半期(Q3)の物流施設の市場動向「ジャパン ロジスティクス マーケットビュー Q3 2018」を発表した。
<首都圏 LMT物流施設 需給バランス>
それによると、今期(Q3)の首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は6.1%と、前期から0.8ポイント上昇した。今期の新築4物件のうち2棟が空室を残したことが主因。しかし、既存物件の空室消化が順調に進んだことに加え、今期竣工物件のうち2棟が満床で稼働したことは、需要が引き続き堅調であることを物語っている。
エリア別空室率は、東京ベイエリア2.9%、外環道エリア1.5%、国道16号エリア2.1%、圏央道エリア21.2%だった。今期、圏央道エリアで3.1ポイント上昇した結果、空室率のエリア間格差は拡大した。
一方、実質賃料は、需要が強い都心寄りの3エリアで賃料が上昇したことにより、 首都圏全体で対前期比0.5%増の4140円/坪となった。
今後の新規供給は、2018年Q4は8万9000坪と過去平均並みだが、2019年Q1は20万6000坪と四半期ベースで過去最高を記録する見込み。しかし、旺盛な需要を背景に、竣工予定のうち複数物件が既に満床となっている。したがって、2019年Q1の空室率は6.5%にとどまると予測している。
<近畿圏 LMT物流施設 需給バランス>
近畿圏LMTの空室率は15.0%と、この半年で6.2ポイント低下した。今期の新規供給3棟が高稼働で竣工したことが寄与し、新規需要は6万9000坪と2007年の調査開始以来3番目の規模になった。実質賃料は3480円/坪で、前期からの変動はなかった。
しかし、空室が少ないエリアでは賃料が底上げされる一方、空室期間が長引くエリアや物件では弱含む、といった二極化傾向が見られる。
近畿圏の向こう2四半期の新規供給は6万5000坪で、過去平均を下回る。足元の堅調な需要から、2019年Q1の空室率は14%程度に低下すると予測している。
<中部圏 LMT物流施設 需給バランス>
中部圏LMTは新規竣工がなく、空室率は対前期比横ばいの8.6%となった。来期も竣工がない中で既存物件に対する引き合いが見られること、2019年Q1竣工物件のプレリーシングが順調であることから、2019年Q1の空室率は8.2%に低下すると予測している。