日本郵船は6月25日、同社が参画している次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)が世界初となる水素を輸送する国際実証試験を本格的に開始したと発表した。
この事業は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より助成を受けて国際間で水素サプライチェーン構築の実証試験を行うもので、これまでブルネイで生成したメチルシクロヘキサン(MCH)を海上輸送し、川崎市内に設置した脱水素プラントで水素を分離し、東亜石油の水江発電所のガスタービン向けに供給してきた。このたび、脱水素で分離したトルエンをブルネイへ輸送し、再度水素と結合させる処理を開始したことにより、一連の流れからなる水素サプライチェーンの循環が完成し、安定稼働に入ったもの。
水素輸送能力はフル稼働時210トン/年(燃料電池自動車フル充填 約4万台相当)となる。
日本郵船の役割は、海上輸送に関するスタディや航海関連データの提供、フォワーディング業務を担当する子会社の郵船ロジスティクス、海上輸送を担当する関連会社のOcean Network Express Pte.Ltd.(ONE)との連携となる。
今後日本郵船は水素の輸送にとどまらず、舶用燃料としての水素活用技術の開発も含めた水素社会の実現に取り組み、究極のクリーンエネルギーと言われる水素に関わるビジネス機会を的確にとらえ、サプライチェーン全体に関わっていくとしている。