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国土交通省/港湾物流分野の中小事業者、情報化促進のための調査をまとめた

2001年08月02日/未分類

国土交通省は、平成12年12月より平成13年3月まで、港湾物流分野における中小事業者の情報化促進のための調査を実施し、調査報告書を取りまとめた。報告書の概要は以下の通り。
1.調査の目的
港湾物流分野における情報化の促進は、業務の効率化により物流コストを低減させ、産業の国際競争力の向上をもたらすものである。韓国、香港、シンガポールといったアジア諸国の先進港湾は高度に情報化されており、貿易・港湾物流関係手続きのEDI(電子データ交換)化を、官民を含め実現している。一方、我が国の港湾物流分野における民間EDIは、低い普及率で低迷している。
本調査は、この状況を改善し、港湾物流情報化促進のため、港湾物流事業者の大部分を占める中小事業者のEDIの現状、問題点の把握、情報化促進方策の検討を目的として実施した。
2.調査方法
調査は(社)港湾物流情報システム協会へ委託し、調査委員会(委員長:圓川隆夫 東京工業大学教授、別紙参照)を設置して行った。 調査の対象は、港湾物流事業者(海貨業者、船社・船舶代理店及びターミナルオペレータ)である。
調査では、まず、港湾物流事業者等にアンケート調査(有効回答数177事業所)を行い、その結果を踏まえて個別企業のヒアリング調査を実施し、調査委員会の議論を経て報告書を取りまとめた。
3.アンケート調査結果
(1)港湾物流分野におけるEDIの導入状況(複数回答有り)
・ EDIの導入状況については、何らかのEDIを導入し、業務に利用している企業の部門は84.3%あるものの、そのうち92.5%は行政手続きのEDIであるSea-NACCS(海上貨物通関情報処理システム)であり、民間EDIは、最大のPOLINET(海貨業者、船社、検量・検数事業者等の間の港湾貨物情報ネットワークシステム)でも、24.2%に留まっている。
・ 更に、行政手続きのEDI〔Sea-NACCS、港湾EDI(港湾管理者等と船社との間のネットワーク)、JETRAS(輸出入許可等の貿易管理ネットワークシステム)等〕と民間EDI〔POLINET、S.C.NET(荷主・船社間ネットワーク)、S.F.NET(荷主・海貨間ネットワーク)等〕との普及率を比較すると、行政手続きのEDIの普及率が85.2%であるのに対し、民間EDIは25.7%に留まっている。
(2)港湾物流分野の民間EDIの阻害要因(複数回答有り)
・ 行政のネットワーク(Sea-NACCS)に対応しており、
民間EDIに対応する投資余力がない。(注) 43.2%
・ 民間EDIネットワークへの参加企業が少ない 38.3%
・ 初期費用の負担が大きい 31.7%
・ 利用料金が高い 26.8%
・ 複数の取引先から各々個別のEDI対応を要求される 25.7%
(注)Sea-NACCSを導入した事業者は、Sea-NACCS専用にサーバーを設置している。民間EDIを進めようとすると、別途ネットワーク機器等の投資が必要となる。
4.民間EDI促進方策
アンケート調査及びヒアリング調査の結果、港湾物流分野における民間EDIの現状は「取引相手企業の民間EDI参加率が低いことが民間EDIへの投資意欲を減じ、それが更に民間EDI加入を躊躇させる」という悪循環構造に陥っていることが示された。このような現状を打破し、爆発的な普及をもたらす「クリティカルマス」(連鎖的な普及が始まる臨界数量)に至る好循環構造(民間EDI化率が上がる→効果が高まる→更に民間EDI化率が上がる→更に効果が高まる)へ転換し、民間EDIの促進を図るためには、企業、民間EDIネットワーク運営組織、業務ソフトを販売するソフトウエアベンダー、関連業界団体、行政等関係者が一丸となり、それぞれの立場に応じた対応策を同時並行的に講ずる必要がある。以下にそれぞれの対応策の主なものを示す。
(1) 民間EDIネットワーク運営組織に求められる対応策
社内業務システム未導入の事業者には、より安価なWeb-EDI(パソコンとインターネットで行う簡便なEDI)を提供する。また、社内業務システムから民間EDIへのメッセージのトランスレーション機能をASPサービスにより安価に提供する。
(2) 民間EDIソフトウェアーベンダー企業に求められる対応策
港湾業務パッケージソフトを開発・提供する民間EDIソフトベンダー企業は、民間EDIネットワークに対応した低価格で良質なソフトウエアを販売し、ユーザー企業が民間EDIと接続するためのトランスレーション機能の開発費負担を解消する。
(3) 民間EDIユーザー及び関連業界団体に求められる対応策
Web-EDI等を利用することにより、民間EDIシステムの構築、運用の負担を軽減する。
社内業務システムと民間EDIとを接続するためのトランスレーション機能を共同で開発し、費用負担を軽減する。
(4) 行政に求められる対応策
民間EDIと行政手続きのEDIとの接続を支援する。また、民間EDIの普及に対する支援を行う。

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