三菱商事／3次元デジタル地図を商業化

三菱商事（株）は、次世代地図として大きな期待されている三次元デジタル地図の実用化・汎用化に成功した。
高解像度衛星「イコノス」などを利用することにより実現された量産化、低価格化を梃子（てこ）に「ＤｉａＭａｐ（ダイヤマップ）」のブランド名で2月中旬より販売を開始、同事業に本格参入する。
三次元デジタル地図の概要
三次元デジタル地図は、二次元情報に加え、ビルや道路の高さなどの三次元情報、さらには色彩など正確な都市の形状を忠実に再現したもの。現在普及している平面（二次元）地図に代わる次世代地図として90年代末から注目を集めている。
用途は、カーナビ地図、携帯電話を利用した歩行者ナビゲーション、ブロードバンド・インターネット上でのショッピング・ナビゲーションなど消費者向け（BtoC）から、携帯電話の電波塔設置シミュレーション、都市再開発などの産業財分野（BtoB）、さらに、観光、防災などの政府・自治体分野（BtoG）に至るまで様々な分野での利用が期待されている。
DiaMap（ダイヤマップ）について
高品質
従来の三次元地図が、航空アナログ写真や、何階建てという想定上の建物の高さなどをベースに作られているに対し、「DiaMap」では、事業投資先の日本スペースイメージング（株）が保有する高解像度衛星 「イコノス」のデジタル画像、および、航空機搭載のレーザーセンサーで測定した精密なデジタル高さデータが使用されている。これらの高精度なデジタルデータの融合により、実際の色彩、地図精度に基づいた三次元地図を実現する。
低価格
高精度な緯度・経度情報が含まれるイコノス画像やデジタル高さデータを利用することにより、位置精度が要求される三次元デジタル地図の作成コストを大幅に削減することができる。さらに、CG （コンピューターグラフィックス）、バーチャルリアリティ、データベース、ネットワークなど数々のデジタル技術を結集することで、三次元デジタル地図の大量生産を世界で初めて実現。価格は、従来の２～５分の１まで低減することに成功した。
広範囲
首都圏、名古屋圏、大阪圏の3大都市圏（合計2万5千平方キロ）の三次元地図の出荷体制をすでに整 えている。需要の拡大に応じて、圏外の政令指定都市及び主要都市にまでエリアを拡大する計画。
用途例・実績
消費者向け市場（BtoC）
・カーナビ向けでは、自動車の走行と同時に、運転席から見える流れるような風景を再現することで、臨場感のあるナビゲーションができる。　大手カーナビゲーションメーカーと既に契約を済ませており、今後、搭載が予定されている。
・全地球測位システム（GPS)を利用して、携帯電話や携帯情報端末（PDA）画面に、目の前に見えている景色と同じ三次元画像を表示することで、直感に訴える歩行者向け道案内を行うことができる。
・ブロードバンド・インターネット上では、実際の商店街と同じ構成のバーチャルモール（仮想商店街）を作成できる。これにより、利用者は歩き慣れた実際の道順に沿ってeコマース・ショッピングができるようになる。
産業財用途（BtoB）
・携帯電話や携帯情報端末（PDA）、無線インターネット、放送などの業界では、電波塔から各端末までの電波の伝達状態をシミュレーションすることで、効率的に電波塔を設置でき、コスト低減に役立つ。既に、FWA（無線インターネット）電波シミュレーション用として出荷している。
・建設・建築・不動産業界では、都市計画・再開発の際、事前に三次元バーチャル（仮想）都市を構築することで、都市景観の事前アセスメント（調査）が容易になるほか、住民の方への説明ツールとして利用できる。
政府・自治体分野（BtoG）
・都市景観シミュレーションなど都市計画の策定ツールとしての用途や、行楽地への観光客誘致を目的とした情報発信としても効果的。自治体・政府プロジェクト向けに、今年度中納入が決定している。
・火災、水害、震災、テロなどあらゆる災害時の避難ルートのシミュレーションに用いることで、防災計画策定、災害時の防災活動を効果的に行うことができる。
今後の展開
従来型二次元地図の需要が頭打ちになる中、デジタルおよび三次元地図分野は世界的に急速な成長を遂げる。三菱商事では、戦略的に本分野へ経営資源を投下することにより、電子地図いわゆる空間情報分野におけるトップ企業を目指す。また、既存の二次元道路・住宅地図メーカーに対しても今後積極的にライセンス供与し、地図市場全体の拡大に務める。
参考：DiaMapのホームページ
http://www.mitsubishi.co.jp/diamap