(株)近鉄エクスプレスの平成16年3月期第1四半期の経営成績(連結)は下記の通り。
業績の概況
平成16年3月期第1四半期の世界経済は、米国を中心としたイラク戦争による個人消費の冷え込み、アジア地域におけるSARS(重症急性呼吸器症候群)に対する警戒感、また米ドル、円に対するユーロ高の進行による欧州発輸出の停滞などの懸念が見られた。
同社グループの貨物取扱いは、イラク戦争の直接の影響はほとんど見られなかったものの、SARSの影響により香港、中国を中心とするアジアで一部荷動きにやや鈍化の傾向が見られたが、グループ全体は、電子部品、自動車関連品、通信関連品等の輸送取扱いが順調に推移し、輸出航空貨物重量が前年同期に比べ8.4 %増、輸入航空貨物件数は同じく20.3%増となった。海上貨物輸送は、輸出重量で17.0 %増、輸入重量でも19.5 %増となり、航空・海上ともに順調に推移した。
<日本>
日本発の輸出航空貨物は、半導体製造装置など設備関連の需要の本格的回復が遅れる一方、電子部品やデジタル家電、プラズマ・ディスプレー・パネルなどの品目が米国・アジア向けを中心として、順調に推移した。
しかし、全体的に航空運賃の市場販売価格は競争激化により、やや下落の傾向が見られた。また従来より、販売拡大に力を注いできた自動車関連品目の取扱いは、平成14年10月の米国西海岸港湾封鎖を契機に新規獲得した顧客の出荷が順調に増加し、さらには欧州向けにタイヤの大口緊急出荷を継続的に取扱うなどにより、輸出重量で前年同期比12.5%増となった。
航空輸入貨物も通信機器、半導体を中心に順調に推移し、件数で前年同期比23.1%増となった。輸出海上貨物ではアジア向け各種製造装置や、特殊車両の取扱い、海上輸入貨物はミュージカル公演の舞台装置、通販品・量販店向け商品の取扱いなどの増加により、輸出重量で前年同期比12.0%増、輸入重量で前年同期比36.1%増となった。
この結果、国内関係会社を含めた営業収入は、24 298百万円となり、前年同期比11.0%増となった。
<米州>
米州本部では、米国で半導体や半導体製造装置、情報通信関連品などの輸出にいまだ本格的な回復の兆しが見られない中、イラク戦争など国際情勢への緊張感も加わり、消費マインドも低迷を続けた。
輸入航空貨物の件数は、同社が特に販売拡大に力を注いでいる自動車関連品の取扱いが順調に増加し、前年同期比8.3%増となった。
一方、輸出航空貨物はハイテクメーカーの生産拠点のアジアへのシフトなどの影響により、コンピュータ周辺機器などの日本向け出荷が低調だったため、重量で前年同期比5.6%減となった。以上の結果、米州の営業収入は7 697百万円と前年同期比12.7%減となった。
<欧州・アフリカ本部>
欧州・アフリカ本部では、イギリス法人が引き続き各エレクトロニクスメーカー等の東欧への生産拠点の移転などの影響もあり低迷したが、一方でドイツ法人による中国を中心とするアジアからドイツ経由でチェコへの電子部品、自動車関連品、光学製品の航空輸送が順調に増加した。
ユーロ高の影響もあり、全体として輸入航空貨物の件数は、前年同期比10.9%増となり、さらに航空輸出も堅調に推移し、重量で前年同期比6.8%増となった。
南アフリカ法人のITを使ったロジスティクスの販売拡大、またベルギーでのロジスティクス事業が順調に軌道に乗りはじめこともあり、営業収入は4 074百万円と前年同期比12.4%増となった。
<アジア・オセアニア本部>
アジア・オセアニア本部では、イラク情勢に対する懸念から特に中国、台湾、タイ発を中心としたアジア域内外での輸出貨物の前倒し出荷などの要因により、輸出航空貨物の重量実績は前年同期比12.4%増となった。
引続き中国を中心にハイテク関連品の航空輸入も好調に推移し、輸入航空貨物件数は前年同期比23.7%増となり、中国におけるロジスティクス事業の需要も増大し、日本からの工場移設に伴う各種装置の海上輸送も順調に推移した。
この結果、アジア・オセアニア本部での営業収入は13 482百万円と前年同期比7.8%増となった。
以上の結果、当第1四半期の連結業績は、営業収入49 553百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益1 404百万円(同45.1%増)、経常利益1 395百万円(同56.7%増)となった。
今後の見通し
イラク戦争の早期終結、SARSの沈静化、米国景気の回復予測などから年後半へ向けた内外の経済環境は好転しつつあり、国内におきましては金融市場の活況による株価上昇局面に入ると思われ、国内消費拡大の兆候も出ている。
輸出入貨物は、SARSの沈静化による商談延期の解除、生産工場建設工事の再開などアジア地域を中心に一時停滞していたビジネス案件が稼働する傾向にあり、航空輸送を中心に順調な荷動きを見込んでいる。
しかしながら米州、欧州の一部では消費の回復が遅れ、依然とした高い失業率の影響等により、本格的な景気回復には時間がかかるものと判断している。
日本発航空貨物の拡大、アジア地域でのロジスティクスを含めた事業の拡大、米国の景気動向により同社グループの業績は変動すると思われるが、中間期及び通期の業績は当初見込み通りに推移すると思われる。
なお、平成16年3月期の見込み金額に外国為替差損益は反映させていない。
同社グループは、グランドデザインの基本戦略である航空輸送の一層の拡大を図るとともに、アジア地域、特に中国でのサービスネットワークの充実と販売拡大により大手優良顧客の開拓にグループを挙げて取組み、物流施設を活用したロジスティクスの販売等を含めた総合物流に力を注いでいく。
同時に経営の「選択と集中」を推進し、不採算法人事業の一掃を図るとともに今後のグループ経営の幹部要員の育成と海上貨物輸送の拡大及びロジスティクス事業戦略の世界展開のための体制を一層強化し、グローバル市場でさらなる成長を図る。
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近鉄エクスプレス/平成16年3月期第1四半期業績の経営成績(連結)
2003年08月14日/未分類
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