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会計検査院/卸売市場施設整備事業の実施に改善意見

2003年11月20日/未分類

会計検査院は11月17日、農林水産省に対し、卸売市場施設整備事業の実施について会計検査院法第36条に基づき改善の意見を表示した。
[要 旨]
(1)卸売市場施設整備事業
(卸売市場施設整備事業)
農林水産省では、卸売市場法に基づき、卸売市場の整備を促進し、及びその適正かつ健全な運営を確保することにより、生鮮食料品等の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もって国民生活の安定に資することを目的として各種施策を実施している。
そして、農林水産省では、各種施策の一環として、地方公共団体が事業主体となって実施する中央卸売市場施設整備事業及び地方卸売市場施設整備事業(以下、これらを併せて「卸売市場施設整備事業」という。)に要する経費の一部を補助している。
(整備する施設の算定基準)
農林水産省では、卸売市場の施設の規模の指標、適正な配置の目標等を定めた卸売市場整備基本方針(以下「基本方針」という。)を10年間を1期として5年ごとに策定している。
そして、中央卸売市場については、基本方針(以下、3年度を初年度として12年度を目標年度とするものを「第5次基本方針」という。)に対応する計画として、中央卸売市場整備計画書(以下、3年度を初年度として12年度を目標年度とするものを「第5次整備計画書」という。)を作成するとともに、中央卸売市場、地方卸売市場の両卸売市場について卸売市場施設整備事業を実施するに当たっては、卸売市場施設整備事業実施計画書(以下「実施計画書」という。)を作成することになっている。
第5次整備計画書及び実施計画書においては、目標年度における市場流通量の規模(以下「目標取扱量」という。)を算定し、これに基づき施設の必要規模の算定を行うこととしている。
この目標取扱量の算定方法については、農林水産省が定めた「卸売市場の施設規模の算定基準について」(以下「算定基準」という。)に定められていて、当該卸売市場が供給の対象とする供給圏を設定し、目標年度における供給圏人口に目標年度における供給率を乗じて得た数値に、目標年度における1人当たりの需要量を乗じて算定することとされており、その際、季節的変動等を十分考慮する必要があるとされている。
(適正な配置の目標)
農林水産省が策定した基本方針によると、卸売市場の適正な配置の目標として、目標年度における取扱品目ごとに一定の目標とする取扱数量が定められていて、中央卸売市場の場合には、青果を主たる取扱品目とする市場では65,000t以上に、水産物を主たる取扱品目とする市場では35,000t以上に、花きを主たる取扱品目とする市場では6000万本相当以上(以下、これらの各取扱数量を「基準取扱量」という。)にそれぞれ達することが見込まれることに留意して行うこととされている。
(2)検査の結果
(検査の対象)
近年、道路網の発展等による流通圏の広域化や、量販店等の生産地からの直接仕入れ等による卸売市場外流通が増加傾向にあるなかで、消費者需要の多様化、少子高齢化、中食・外食産業の発展、食の国際化等に伴う輸入食材の増加などの影響も受け、卸売市場の取扱量は、62、63年頃を頂点としてそれ以降横ばいないし減少傾向にある。
このような状況のなかで、毎年多額の国庫補助により整備されている卸売市場の施設の規模は適正なものとなっているか、取扱量に応じた卸売市場の適正な配置となっているかなどについて、北海道ほか41都府県において、平成12年度を目標年度として3年度から8年度までの間に実施した76中央卸売市場(第5次整備計画書を作成した4中央卸売市場を含む。)に係る中央卸売市場施設整備事業及び30地方卸売市場に係る地方卸売市場施設整備事業(両事業に係る国庫補助金交付額487億2671万円)を対象に検査した。
(検査の結果)
ア 目標取扱量を過大に見積もるなどしていて、必要規模を上回る施設が整備されているもの
(ア)  76中央卸売市場(青果部71市場、水産物部53市場、花き部23市場、延べ147市場)において、第5次整備計画書で算定された12年度の目標取扱量と実績取扱量を比較すると、実績取扱量が目標取扱量に達していない市場は、青果部では68市場、95.8%、水産物部では50市場、94.3%、花き部では20市場、87.0%となっていた。
(イ)  30地方卸売市場(青果部23市場、水産物部19市場、花き部7市場、延べ49市場)において、実施計画書で算定された12年度の目標取扱量と実績取扱量を比較すると、達成率が100%を超えている市場は4市場に過ぎない状況となっていた。
イ 目標取扱量が基準取扱量を満たしておらず、施設が適切な配置となっていないもの
76中央卸売市場において、第5次整備計画書で算定された12年度の目標取扱量と基準取扱量を比較すると、延べ147市場のうち29市場において、計画の段階から目標取扱量について基準取扱量を下回る設定をしている状況となっていた。
上記ア、イのように、目標取扱量の算定に当たり、供給圏人口、供給率、1人当たりの需要量が過大に見積もられる傾向があることから、必要な規模を上回った施設が整備されていたり、目標取扱量が基準取扱量を満たしておらず、施設が適切な配置となっていなかったりしている事態は、生鮮食料品等の流通の合理化を図ることとしている卸売市場施設整備事業の目的に照らし、事業が必ずしも効率的、効果的に行われているとは認められない。
(3)本院が表示する改善の意見
卸売市場施設整備事業は、第5次基本方針以降、13年に策定された第7次基本方針においても基本的には同様の制度を用いて卸売市場施設整備事業を実施している。また、11年度に改定された第6次基本方針以降、卸売市場の適切な配置について、近年の流通の広域化を踏まえ、同一の広域流通圏に属する卸売市場の再編・機能分担等について、関係者と協議を進めるととともに、開設者の地位の承継等の中央卸売市場の再編に向けた具体的な取組を進めることとされているが、これまでのところ具体的な成果は見られていないところであることから、次のような改善の意見を表示した。
農林水産省において、卸売市場の施設整備に当たり、施設の必要規模の算定基準等を見直し、今後は、合理的、客観的に推計できる将来需要に対応した施設整備を行って、必要性が確実に見込まれる施設又は現に必要な施設を整備することとするとともに、中央卸売市場の適切な配置についても検討を十分に行うよう制度を改善し、今後実施される卸売市場施設整備事業について、その効率的、効果的な実施を図ること。
詳細は下記アドレスを参照。
http://www.jbaudit.go.jp/base/topics/h15/norin36_20031117ze.htm

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