(株)商船三井は、LNG船機関シミュレータを開発し、船員研修所(東京都港区田町)に設置した。実際の機器と同様のスケールで機関の運転音や操作音をも再現する、世界初の本格的なタービン機関シミュレータ。
シミュレータ概要
カタールプロジェクト投入LNG船“アル・ズバーラ”のエンジンルームを、約100平米のフロアにできるだけ忠実に再現したもの。LNG船未経験機関士の養成はもとより、経験者の再教育訓練にも対応する。
システム構成
タービン機関を構成する次の各装置と、講師用デスクから成り立っている。エンジン操作パネルをはじめ、各装置は、可能な限り実機を使用。
プラズマ画面(5面)、バルブ操作パネル、エンジン機側操作パネル、
発電機・給水ポンプ機側操作パネル、ボイラー機側コントロールパネル、
発電システムコントロールパネル、エンジン操作パネル、
ボイラー・主機タービン・補助機械集中起動操作パネル
開発の目的と特徴
・現在の船舶は、燃費効率の優位性などから一般にディーゼル機関を搭載しているが、LNG船では、運搬中に気化するLNGを燃料として取り込みながら運航するためタービン機関を用いている。タービン機関に接する機会の少ない船員が、現場に近い状況で研修をすることにより、LNG船の安全運航に資するもの。日常的な基本操作訓練はもとより、緊急対応及び事故防止に向けた応用訓練までをシミュレーションできる。
・タービン機関は、ボイラーを焚いて蒸気の力でプロペラを回転させる。タービンの運転に必要な水、燃料(重油・LNG)や蒸気はバルブの操作で調節するが、配管系統の理解とバルブの的確な操作が、LNG船では安全運航の基本要素のひとつである。シミュレータのバルブを操作すれば、大型プラズマ画面に表示される3Dの配管図に動きが反映されるうえ操作音も聞こえるなど、本シミュレータでは、配管系統と操作感覚を実船同様の再現で習得できる。また、プラズマ画面は、確認したい箇所を触れば、その部分を拡大して見ることができる。
・さらに、既存の荷役シミュレータとの連携により、LNG船オペレーションの総合的な訓練も可能。
・各装置は、講師用のPC2台に接続され、講師がインプットするさまざまな状況設定で、研修できる。講師用PCには、プログラムの進行を停止して確認や研修生への説明が行える「ホールド機能」や、実際に行った訓練内容を任意の時点から再現できる「再現機能」をはじめ、「繰り返し訓練機能」「擬似トラブル発生機能」などの機能がある。
・また、研修生の自習と同研修所以外での簡易訓練のため、本シミュレータ本体機能をインストールしたPC版シミュレータも用意しているが、海外船員研修拠点へのシミュレータの追設も検討している。