(株)アイ・ロジスティクスの平成17年3月期中間決算短信(連結)の経営成績は下記のとおり。
同社グループでは4月に組織を改編し商品別の営業体制に、また、5月には分散していた事務所を一本化し、業務効率のより一層の向上を図った。
営業面では「食品」「医薬品・日用品」「繊維(ブランド品)」「ハイテク商品」「機械・自動車部品」の5つを「戦略商品分野」とする重点営業と国内子会社と海外現地法人の経営改善を目指し、経営方針である「受注拡大と効率経営」のもと戦略を実行し、利益率の改善を図り、経営効率を高めながら国内外複合一貫物流の強化に全力を挙げた。
国内事業は、市場に適合したスルー型配送等への強化を一段と推進するとともに、物流アウトソーシング(3PL)事業の開拓に注力した。
海外事業は、営業体制を見直し、中国・東南アジアを中心とする事業強化で国際物流部門のより一層の収益拡大を目指した。
その結果、連結営業収益は、前年同期比7.9%増の290億66百万円、連結経常利益は、倉庫事業における食品部門の不振と一部海外現地法人の業績悪化により前年同期比19.2%減の3億3百万円となった。連結中間純利益は、前中間期においては子会社清算に関わる税効果の認識があったが、当中間期にはこのような要因がなかったことから、前年同期比59.9%減の1億23百万円となった。
セグメント別の概況
総合物流業
倉庫事業は、普通倉庫においては、業界動向で保管残高が2年以上にわたり減少を続けているが、新規案件へのチャレンジとともに既存荷主企業の収益改善に努めたことにより、営業収益は前年同期比2.6%増の27億55百万円となった。
冷蔵倉庫は、従来の原料中心の貨物構成から加工品等の製品が顕著になり、業務用冷凍食品の取引拡大に注力したことにより、営業収益は前年同期比34.6%増の10億26百万円となった。
この結果、倉庫事業全体の営業収益は、前年同期比9.7%増の37億80百万円。
運送取扱事業は、一般貨物輸送において、食品関連の輸配送が堅調に推移し、機械据付業務もほぼ前年同期並みを確保した。一方、引越業務は首都圏では事務所移転の大型案件を受注するなど順調に推移したが、それ以外では苦戦が続き、低調に推移した。この結果、営業収益は、前年同期比0.1%減の28億45百万円。
配送センター事業は、関西地区に、昨年8月開設した医療薬局向け医薬品配送センター、11月に開設したコンビニエンス・ストア向け配送センターが大きく貢献し、また今夏の猛暑による冷菓の取扱増も寄与するなど順調に推移し、営業収益は、前年同期比35.4%増の32億76百万円。
国際貨物取扱事業は、海上貨物取扱事業において、輸出貨物が海運業界の業績回復を反映した中国向け海上コンテナ用冷凍機やアジア・中国・中東欧向け自動車製造設備・部品などの取扱増、北米向けオートパーツの新規取扱い、設備機械の増加などにより順調に推移した。
輸入貨物は、自動車部品・アルミ地金原料・食材などの取扱増、機械プラントの新規受注などによる取扱増があったものの、衛材用パルプの落ち込み、市況低迷により繊維製品の取扱いの減少などにより前年同期並みに推移し、営業収益は、前年同期比6.3%増の113億12百万円。
航空貨物取扱事業は、輸出貨物は、台湾・中国向け半導体製造装置関連商品、韓国向け液晶装置の取扱いが順調に伸長するとともに自動車補修部品の輸出の増加などにより、好調に推移した。
輸入貨物は、デジタルカメラ完成品・電子部品・携帯電話の部品などの取扱いは微増、ブランド衣料品などはほぼ横ばいに推移し、前年同期並みに推移し、営業収益は、前年同期比11.3%増の60億83百万円。
港湾運送事業は、荷主企業からの低コスト化要請が続く中、輸出においては、雑貨品の取扱数量が前年同期並みに推移したが、繊維品の取扱数量は前年を大幅に下回った。輸入においては、電気製品の取扱数量が増加したものの、主力である繊維品の取扱数量は前年を下回るなど総じて低調に推移し、営業収益は前年同期比0.8%減の10億65百万円。
陸上運送事業は、輸送量の低迷と同業者間の競争激化により、運賃水準は低いままの状況で推移、加えて燃料費の高騰が経営を圧迫する中、国内輸送部門においては、既存荷主企業への営業拡大努力により増収となった。
海上コンテナ輸送部門は一部不採算取引からの撤退と低運賃により前年に比べ減収となった。高圧ガス輸送部門も需要家のリストラ策の影響により輸送量は微減となり、営業収益は前年同期比9.6%増の2億55百万円となった。
以上の結果、総合物流業の営業収益は前年同期比8.6%増の287億76百万円となり、また、営業利益は前年同期比7.9%増の3億18百万円となり、総合物流業は営業収益全体の99.0%を占めている。
不動産賃貸業(省略)
通期の見通し
わが国経済は国内民間需要が着実に増加していることから、景気回復が続くものと見込まれるが、一方、個人消費の大幅な回復は見込みにくく、また、原油価格の動向が内外経済に与える影響なども懸念され、先行きは必ずしも楽観できないものと思われる。
物流業界は、国際貨物が、世界経済の回復で輸送需要が伸長していることから、順調に推移するものと予想されるが、国内貨物はまだまだ厳しい状況が続くものと思われる。
同社グループは、効率経営を徹底すべく仕入削減・総経費抑制を継続していく。国内は、経営資源の有効活用を図るべく、資産の入替えを積極的に推進するとともに、不採算取引を排除し、更なる効率経営を目指す。
海外は、CEPA(中国・香港間の経済貿易緊密化協定)に基づき、広州で独資による物流子会社を設立、日系物流企業として初めての国際フォワーディングライセンスを取得した。今後、飛躍的な需要拡大が見込まれる中国物流マーケットにおいて事業展開を加速させ、物流体制を一層強化すると同時に、戦略的業務提携を推進するなど業容拡大を図り、業績の向上に努める。
通期の連結業績見通しは、営業収益573億円、経常利益11億円、当期純利益5億円を見込んでいる。