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公取委/物流センター設置で費用負担「一方的に要請された」約46%(大規模小売業調査結果)

2005年02月06日/未分類

公正取引委員会は、大規模小売業者と納入業者との取引に関する実態調査をまとめた。

大規模小売業者と当該事業者に商品を納入している「納入業者」との納入取引について、従来から、その公正化を図る観点から、納入取引におけるルールの明確化、実態調査に基づく改善指導、違反行為に対する措置等を講じてきた。

近年、大規模小売業者については、百貨店、スーパーのほか、衣料、家電、医薬品・化粧品等の専門量販店、ホームセンター、コンビニエンスストア本部等の業種や業態が多様化するとともに、その規模等も拡大している。

このような中で、大規模小売業者による納入取引上の問題についての指摘も増加しているなど、百貨店業告示は必ずしも現在の流通の実態にそぐわなくなっている。

そこで、百貨店業告示の見直しを行い、大規模小売業者による優越的地位の濫用行為を効果的に規制する告示(以下「新告示」という。)を制定することを検討する旨、昨年9月22日に公表したところであるが、その一環として、大規模小売業者と納入業者との取引の実態について、改めて書面調査を実施したもの。

詳細は下記アドレスを参照。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.february/05020202.pdf

調査対象
大規模小売業者350社、232社(回答数)、66.3%(回答率)
納入業者6000社、1415社(同)、23.6%(同)

大規模小売業者=①百貨店、②大型総合スーパー、③ホームセンター、④専門量販店、⑤コンビニエンスストア、⑥ディスカウントストア、⑦ドラッグストア、⑧通販業者及び⑨その他の大規模小売業者(地域における有力なスーパー、生協等)。

納入業者=①衣料品・繊維製品、②食料品・飲料、③酒類、④トイレタリー・化粧品・医薬品、⑤家庭用品・その他の商品、⑥家庭用電気製品のいずれかを取り扱っている事業者。

物流分野での調査結果は下記のとおり。

■物流センターの設置等に伴う費用の負担要請
(1)物流センターの利用状況について、納入業者調査によれば、「利用している」と回答した者が約63%(小売業者調査によれば、物流センターを「有している」と回答した者が約79%)となっている。
また、小売業者調査によれば、物流センターの利用状況については、「一部を除くほとんどの取引先納入業者が利用している」と回答した者が約66%と最も多く、次いで、「利用するかどうかは取引先納入業者の個別判断に任せている」と回答した者が約19%となっている。

(2)物流センターを利用する理由について、納入業者調査によれば、「小売業者の方針で、物流センターを利用しないと取引できない」と回答した者が約63%と最も多く、次いで、「小売業者から要請を受け、受発注業務、物流業務の合理化に資すると思って利用している」と回答した者が約53%、「小売業者から要請を受け、利用料の負担に比べメリットは少ないが、断ると今後の取引に支障が生じると判断して利用している」と回答した者が約31%となっている。

(3)物流センターの利用料の負担の状況について、納入業者調査によれば、物流センターの利用料を「負担している事例がある」と回答した者が約74%となっている。
(4)物流センターの利用料の負担額(率)に関する協議の状況について、納入業者調査によれば、「負担額(率)等について協議の機会を与えられなかった(一方的に要請された)」と回答した者が約46%と最も多く、次いで、「負担額(率)等について一応協議の機会は与えられたが、十分とはいえなかった」が約35%となっている。

また、小売業者調査によれば、物流センターの利用に関する条件の取決めの方法については、「書面で行っている」と回答した者が約80%と高い割合となっている。このことから、物流センターの利用条件については、書面により取り決められている場合が多いものの、納入業者からみれば、物流センターの利用料の負担額等について、協議の機会を与えられなかった、又は十分な協議の機会を与えられなかった場合も多いことがうかがわれる。

▼(1)物流センターの設置等に伴う費用の負担要請に関する独占禁止法上の考え方
(基本的考え方)
小売業者が、物流センターの設置等仕入体制のシステム化を進めるに当たり、システム化の費用の負担を納入業者に要請することがある。物流センターの設置等の取組は、物流業務の合理化を促進し、納入業者にとっても直接の利益となる場合があるが、取引上優越した地位にある小売業者が納入業者の直接の利益とならないにもかかわらず、一方的な都合で納入業者に対し物流センターの設置等に伴って生じる費用の負担要請を行い、その費用を負担させることにより、納入業者に不当に不利益を与えることとなる場合には、優越的地位の濫用として問題となる。

(2)物流センターの設置等に伴う費用負担の実態
ア物流センター(子会社等が運営しているものも含む)の利用状況
納入業者調査によれば、物流センターの利用状況については、全体では、「利用している」と回答した者が63.3%となっている。
これを業態別にみると、大型総合スーパー及びCVSでは,「利用している」と回答した者の割合が、それぞれ81.5%、77.7%と他の業態に比べ高くなっている。また、百貨店では、「利用している」と回答した者の割合が43.9%と他の業態に比べ低くなっている。

一方、小売業者調査によれば、物流センターの有無については、「有している」と回答した者が78.9%と高い割合となっている。

また、小売業者調査によれば、物流センターの利用状況については、「一部を除くほとんどの取引先納入業者が利用している」と回答した者が65.9%と最も多く、次いで、「利用するかどうかは取引先納入業者の個別判断に任せている」と回答した者が18.8%となっている。

イ物流センターを利用する理由
納入業者調査によれば、物流センターを利用する理由について、「小売業者の方針で、物流センターを利用しないと取引できない」と回答した者が63.1%と最も多く、次いで、「小売業者から要請を受け、受発注業務、物流業務の合理化に資すると思って利用している」と回答した者が53.0%、「小売業者から要請を受け、利用料の負担に比べメリットは少ないが、断ると今後の取引に支障が生じると判断して利用している」と回答した者が31.3%となっている。

ウ物流センターの利用料の負担の状況
納入業者調査によれば、物流センターを利用している納入業者の物流センターの利用料の負担の状況については、全体では、物流センターの利用料を「負担している事例がある」と回答した者が73.9%となっている。
これを業態別にみると、百貨店及び通販業者では、「負担している事例がある」と回答した者の割合が、それぞれ46.5%、36.6%と他の業態に比べ低くなっている。

納入業者調査によれば、平成14年以降の物流センターの利用料の料率の状況の変化については、全体では、「ほとんど変わらない」と回答した者が80.7%となっている。
また、利用料の料率が「大幅に値上げ(料率アップ)された」(2.5%)、「若干値上げ(料率アップ)された」(15.5%)とする者の割合の計は18.0%となっており、「大幅に値下げ(料率ダウン)された」(1.3%)、「若干値下げ(料率ダウン)された」(0.1%)とする者の割合の計1.4%を大幅に上回っている。これは、業態別にみても、同じ傾向となっている。

エ物流センターの利用料の負担額(率)に関する協議の状況
納入業者調査によれば、物流センターの利用料の負担額(率)に関する協議の状況については、全体では、「負担額(率)等について協議の機会を与えられなかった(一方的に要請された)」と回答した者が45.7%と最も多く、次いで、「負担額(率)等について一応協議の機会は与えられたが、十分とはいえなかった」と回答した者が35.4%となっている。

また、小売業者調査によれば、物流センターの利用に関する条件の取決めの方法については、「書面で行っている」と回答した者が80.3%と高い割合となっている。

口頭で行っている。書面で行っている。取り決めはしていない。その他このことから、物流センターの利用条件については、書面により取り決められている場合が多いものの、納入業者からみれば、物流センターの利用料の負担額(率)等について、協議の機会を与えられなかった、又は十分な協議の機会を与えられなかった場合も多いことがうかがわれる。

■多頻度小口配送の要請
(1)平成14年以降の配送条件の変更要請の状況の変化について、納入業者調査によれば、「配送条件の変更要請はない」と回答した者が約64%となっており、次いで、「配送時間を指定するものであった」と回答した者が約14%、「リードタイムを短くするものであった」と回答した者が約8%となっている。
(2)多頻度小口配送の要請に関する協議の状況について、納入業者調査によれば、「一応協議の機会は与えられたが、十分とはいえなかった」と回答した者が約46%と最も多く、次いで、「協議の機会を与えられなかった(一方的に要請された)」と回答した者が約25%となっており、このことから、納入業者からみれば、十分な協議が行われていない状況にあることがうかがわれる。

▼(1)多頻度小口配送の要請に関する独占禁止法上の考え方
(基本的考え方)
小売業者が、常に消費者ニーズに対応できるように配送の小口化とそれに伴う配送の増加(多頻度小口配送)を納入業者に要請することがある。小売業者が納入業者に対して、多頻度小口配送を求めること自体は直ちに独占禁止法上問題となるものでないが、例えば、取引上優越した地位にある小売業者が多頻度小口配送を要請し、これによって納入に要する費用が大幅に増加するため納入業者が納入単価の引上げを求めたにもかかわらず、納入業者と十分協議することなく一方的に、通常の対価相当と認められる単価に比して著しく低い納入単価で納入させることとにより、納入業者に不当に不利益を与えることとなる場合には、優越的地位の濫用として問題となる。

(2)多頻度小口配送の要請の実態
ア平成14年以降の状況の変化
納入業者調査によれば、平成14年以降の配送条件の変更要請の状況の変化については、全体では、「配送条件の変更要請はない」と回答した者が63.5%となっており、次いで、「配送時間を指定するものであった」と回答した者が14.1%、「リードタイムを短くするものであった」と回答した者が8.3%となっている。

イ多頻度小口配送の要請の協議の状況
納入業者調査によれば、多頻度小口配送の要請に関する協議の状況については、「一応協議の機会は与えられたが、十分とはいえなかった」と回答した者が46.0%と最も多く、次いで、「協議の機会を与えられなかった(一方的に要請された)」と回答した者が24.5%となっており、十分な協議が行われていない状況があることがうかがわれる。

▼多頻度小口配送等の要請
(1)考え方
最近、大規模な小売業者は、発注のオンライン化、物流センターの設置等仕入体制のシステム化を進めているが、これに関連して、例えば、納入業者に多頻度小口配送(配送の小口化とそれに伴う配送回数の増加)を要請したり、システム化の費用として納入業者に負担を要請することがある。
システム化への取組は、受発注業務、物流業務の合理化を促進し、消費者ばかりでなく納入業者にとっても利益となる場合がある。しかし、優越的地位にある小売業者が、一方的な都合で納入業者に対し多頻度小口配送の要請を行ったり、システム化に伴って生じる費用について具体的な負担の根拠や割合を示さないまま、例えば、受発注オンライン・システムの利用料や物流センターの使用料として納入業者に負担を要請する場合には、納入業者に不当に不利益を与えることとなりやすく、優越的地位の濫用として問題を生じやすい(注)。
(注)小売業者においては、仕入体制のシステム化に伴って生じる費用の負担や多頻度小口配送に伴う負担を納入業者に一方的に負わせることのないよう、その条件について納入業者との間で十分に協議することが望ましい。

(2)独占禁止法上問題となる場合
取引上優越した地位にある小売業者が、納入業者に対して多頻度小口配送を要請し、又は仕入体制のシステム化に伴って生じる費用の負担を要請することは、次のような場合には、正常な商慣習に照らして不当に不利益を納入業者に与えることとなり、不公正な取引方法に該当し、違法となる(一般指定14項(優越的地位の濫用))。
①多頻度小口配送を要請し、これによって納入に要する費用が大幅に増加するため納入業者が納入単価の引上げを求めたにもかかわらず、納入業者と十分協議することなく一方的に、通常の対価相当と認められる(注)単価に比して著しく低い納入単価で納入させることとなる場合
②仕入体制のシステム化に伴って生じる費用の負担額及びその算出根拠等について納入業者と十分協議することなく一方的に負担を要請し、納入業者に不利益を与えることとなる場合
③仕入体制のシステム化に伴って生じる費用を納入業者が得る利益の範囲を超えて一方的に納入業者に負担させる場合(注)
(注)「通常の対価相当と認められる」かどうかは、従前の納入単価、同様の多頻度小口配送の条件で取引している他の納入業者の納入単価等から総合的に判断される。
(注)③の場合は、費用負担の条件について取引当事者間で明確になっている場合であっても違法となるケースである。

■その他
納入業者調査では、上記の納入取引上の問題行為の外に、非常に少数ではあるが、「納品代行業者の利用要請」、「天候等により入荷が困難な指定産地での指定数量の納品要請」、「小売業者が支払うべきリサイクル費用の負担要請」等について、大規模小売業者からなされたことがある旨指摘する者もいた。

▼その他
納入業者調査の中には、上記に挙げた納入取引上の問題行為の外に、非常に少数ではあるが、「納品代行業者を強制され、断った場合は納入待ち時間が長くなる」、「天候等によって入荷が困難な場合でも、指定産地での指定数量の納品を要請をしてくる」、「容器包装リサイクル法において、プライベート・ブランド商品の製造については、小売業者も特定事業者として再商品化委託料金を負担する義務があるが、納入業者がリサイクル費用を代わりに負担している」等について、大規模小売業者からなされたことがある旨指摘する納入業者もいた。

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