三菱電機(株)と東レ(株)は使用済み家庭用エアコン室内機のクロスフローファンに使用される「ガラス繊維強化AS樹脂」(以下:ASG)を分別・再生・再利用する業界初のマテリアルリサイクル技術を共同で開発した。
両社はこの技術を使ったリサイクル施設を分担して設置済みで、2月末日から本格的に量産を開始する。
エアコン室内機に使われるクロスフローファンは、エアコン室内機を構成する全プラスチック部品の13%(重量比率)を占めますが、ファンに付着している異物やASGに含まれるガラス繊維の折損等により再生後の物性が低下するため、リサイクルが困難と考えられてきた。
両社は、使用済み家電プラスチックのリサイクル率を一層高めるため、ASGのリサイクル技術開発に着手した。
開発に際しては、クロスフローファンに付着する金属や他のプラスチック原料、さらに埃などの異物の混入率低減、および材料品質の安定化が技術的課題だった。
今回共同開発したリサイクル技術は、使用済み家庭用エアコン室内機からASG製のクロスフローファンを分別・再生し、新たにクロスフローファン材料として再利用するもの。
回収・異物除去システム、および回収原料とバージン原料との最適なブレンド処方を確立した結果、成形性、強度特性、および品質の安定性においてバージン原料100%とほぼ同等の物性を有するリサイクルASGを実現した。
リサイクル工程は、三菱電機の家電リサイクルプラントである、(株)ハイパーサイクルシステムズが回収・分別と破砕を担当し、東レ千葉工場が新設した専用の洗浄設備と金属除去ラインにより異物除去とリサイクルASGのペレット化を行う。
回収原料とバージン原料を最適にブレンドし新品同様の品質を確保して製造したリサイクルASGは、三菱ルームエアコン霧ヶ峰の室内機クロスフローファンへ再利用し、家電製品の環境負荷低減を図る。