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松下電工など/光を応用した生花の常温輸送システムをトラック本体に展開

2007年06月01日/SCM・経営

松下電工(株)、エイエスエムトランスポート(株)、(株)鶴見花きの3社は異業種で連携し、人工光を光源とする照明器具による光合成を応用した生花の常温輸送システムを初めてトラック本体に展開、6月1日から本格運用を開始する。

<生花の常温輸送システムをトラック本体に>
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トラックの荷台内部に専用の照明器具を設置することで、通常の常温輸送トラック内でも、さらに光で生花の鮮度を保つことができ、常温での配送が可能。「温度ストレス」による生花の鮮度低下を軽減する。

主な特長は、①照明器具の光を活用した光合成作用により、輸送中の花の品質・鮮度保持が可能②常温輸送とすることで、低温輸送にかかる輸送コストの削減、昼の運送も可能③専用バッテリー電源搭載車による運搬で省エネ、生産者から花店まで作業効率向上――など。

エイエスエムトランスポートでは、3月からトラック内に「冷陰極管」を仮設置した試験輸送を開始していたが、5月24日に「冷陰極管」を荷台内部に完全装備したトラック(冷蔵・冷凍、常温輸送兼用車)1台が新たに完成。6月1日から、本格運用を開始するもの。

当初は、愛知県内の生花の産地から仙台市の卸売市場までの常温輸送定期便として活用。帰り便では、冷蔵に切替えて精肉を輸送する。

山形県内の生花の産地から京阪神の卸売市場まで、生花や植物の輸送も行う計画で、いずれも、トラック荷台内部に人工光の「冷陰極管」を装備。照明器具付の棚板の下や、可動式輸送コンテナなどに、バケツの水に入れられた生花や植物を積み込んで運搬する。

従来の生花の冷蔵輸送では、産地で収穫後、生花を一度低温倉庫で一時保存してから、常温下において出荷作業を行い、さらに輸送時には低温下で夜間に輸送していた。

消費地で常温での荷受作業を行い、再び冷温倉庫で一時保管。さらに、販売店の手元に渡る直前まで常温下になり、販売店の手元に渡った段階で、再び低温下で品質・鮮度管理が行われている。

温度の高低が繰り返されているため、「温度ストレス」がかかっていたが、常温輸送が可能になったことで、収穫後すぐ昼の輸送が可能になり、「温度ストレス」が軽減。また、確保の難しい夜間ドライバーではなく、昼のドライバーでも対応可能になった。

このほか、従来トラックの荷台には照明器具はあまり搭載されていなかったため、積み下ろしは比較的暗い中でする必要があったが、積み込み・積み下ろしの際の明かりとしても活用でき、車輪付の可動式輸送コンテナを活用すると、ドライバーの積み込み・積み下ろし時の負荷の軽減も可能に。松下電工では「女性ドライバーなどでも輸送することができるようになる」としている。

生花を輸送する際には、傷みを防ぐために生花を箱詰めにして低温で輸送していたため、多額の輸送コストがかかり、生花店で常温になり急に光を浴びることで、一斉に開花してしまい、顧客が購入した後の花もち期間が短くなってしまうという問題があった。

そこで、照明器具メーカーの松下電工と花き卸市場の鶴見花きで、「光ストレス」対策として植物の光合成に着目。生花をバケツの水につけたまま輸送し、輸送中も照明器具による光を太陽と同じように12時間周期で当てることで、生花の光合成を促し、生花を新鮮な状態で花店まで輸送することを検討した。

さらに輸送コンテナメーカーの岩谷マテリアルと協力し、輸送コンテナに人工光を光源とした省エネの照明器具を取り付けて、生花を常温で輸送するシステムを開発し、2006年10月から西日本地区で試験運用を開始。

その後、実際に輸送を担当する運送会社への提案を進めてきた結果、「空車時」の課題や「運送会社サイド」での課題が新たに見つかり、対応を検討。トラックの荷台に直接照明器具を装備して常温輸送することで、「温度ストレス」の軽減が可能になった。

また生花や植物の鮮度を保つ以外に、荷台内のあかりにも活用できることがわかり、エイエスエムトランスポートで、コンテナだけでなく荷台に直接冷陰極管を取付けたトラック1台の運用を決定。

車体メーカーの日本フルハーフ(株)、自動車メーカーの日野自動車(株)が開発に協力し、冷陰極管付のトラックが完成した、としている。

問い合わせ先
松下電工(株)
照明事業本部
LED・特品・新市場開発センター 新市場開発部
TEL06-6908-1131(大代表)

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