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川崎汽船/08年3月期、ドライバルク部門がけん引、過去最高業績

2008年04月28日/決算

川崎汽船が4月25日に発表した2008年3月期連結決算は、売上高1兆3310億円(前期比22.6%増)、営業利益1296億円(2.1倍)、経常利益1258億円(96.9%増)、最終利益830億円(61.1%増)となった。業績はいずれも過去最高。
コンテナ船部門は、世界経済の拡大に支えられ、荷動きが全般的に好調に推移。特に欧州航路ではユーロ高を背景に北欧州向けに、また旺盛な消費を背景にロシア、東欧圏諸国向けに荷動きは前期比で全体で約20%増加した。北米航路では、住宅関連貨物の減少によりアジア出し荷動きは下期から鈍化し、通年では前期比ほぼ横這いにとどまった。
06年半ばから投入開始した8000TEU積みの大型新造船効果もあり、欧州向け積高は前期比9%増となり、運賃水準も前期を大幅に上回った。北米航路は前期中に開設した東岸向け新サービス2便による船腹増強の効果もあって、積高は11%増加、運賃水準も前期を上回った。アジア航路では特に日本からの輸出貨物が堅調に推移し、航路全体として積高を伸ばした。
南北航路は南米東岸と欧州、アジアをそれぞれ結ぶ2航路を新規に開始したほか、南アフリカ航路投入船を大型化するなど輸送力増強を図った結果、積高は前期比36%増と大きく伸び、運賃水準も前期を上回った。この結果、コンテナ船部門全体の業績は、燃料油価格の一段の高騰などの悪化要因、会計方針の変更に伴う影響があったものの、増収増益となった。
ドライバルク部門では、大型船市況は旺盛な荷動きを背景に1年を通じて船腹需給が逼迫した状況が続き、高値圏で推移。中国の鉄鉱石輸入量は前期比約6000万トン増の約3億8300万トンに達し、中でも輸送距離の長いブラジルからの鉄鉱石輸入量が約1億トンと、前期比で約2500万トン増加するなど、トン当たり輸送距離が著しく伸びた。
また、豪州石炭積出港での滞船長期化による輸送効率の低下も船腹需給逼迫要因となった。鉄鋼原料、電力炭、製紙原料などの長期輸送契約で安定的な収益を確保する一方、スポット契約にも効率的に配船することで高騰する市況を享受した結果、ドライバルク輸送部門全体では前期比で増収増益となった。
自動車船部門は、日本からの完成車輸送が米国での販売の減速により米国向け取り扱いで減少するも、旺盛な新興国向け輸出に支えられ、全体で前期比約9%増の約340万台となった。特に、中国・インド・中近東・南アフリカ航路の新規開始も寄与し、同地域向けは前期比約22%増加、中南米・カリブ向けも前期比38%の伸びを示した。また、5隻の新造船の竣工による輸送能力の増強、船隊の効率的な配船により収益機会の確保に努めた結果、安定した収益につながった。不定期専用船部門全体としては、増収増益。
LNG船(液化天然ガス輸送船)は、米国LNG基地向け新造船2隻が期中に竣工し、保有・関与する船舶は合計で33隻となった。また、旺盛なスポット貨物の動きを背景に短期傭船した1隻も順調に稼動し、安定的な収益を確保した。
油槽船は、トン当たり輸送距離での輸送需要の伸び悩み、欧州の需要減退などにより運賃市況が弱含みで推移する局面があったものの、中国、インドなどの旺盛な石油需要に支えられ、通期の運賃市況は前期並み。VLCC1隻、アンモニア船2隻の新造船が船隊に加わったが、燃料費、運航経費の高騰により、収益面では前期を若干下回った。エネルギー資源輸送部門全体では、増収減益。
また、ドイツの重量物専業船社SALグループに50%の資本参加を行い、重量物船事業に再参入。資源需要の高まりを背景としたエネルギー開発やインフラ整備関連の大型貨物の旺盛な輸送需要を受け、「期待通り海運業事業のひとつ」として収益に寄与した。
内航部門は国内の鉄鋼・セメント業界の需要が旺盛で、石灰石専用船を中心に高い稼働率を維持。RORO船サービスでは新造船の代替投入、新規航路の開設により営業規模の拡大を図った。
海運業部門全体では、売上高1兆1769億円(前期比25.6%増)、営業利益1135億円(2.5倍増)となった。
総合物流事業では、原油価格高騰による一部航空貨物の海上輸送へのシフト、陸上輸送事業における燃料費の増大などマイナス要因もあり、セグメント全体では売上高1313億円(3.3%増)、営業利益137億円(0.8%減)となった。
次期は、コンテナ船部門で、サブプライムローン問題から北米航路の成長は横這い程度に鈍化するものの、欧州航路や南北航路の荷動きは引き続き堅調に推移すると見込んでいる。こうした航路環境を背景に、船腹増強は需要が停滞する北米航路ではなく、引き続き荷動き好調が予想される欧州航路へ主に振り向けられる見込み、としている。
航海距離の長い欧州航路は特に、燃料費削減を目的に投入船を1隻追加して減速航行する配船が一般化しつつあり、一定の需給調整機能が働くとしている。アジア域内・南北航路では、堅調な設備投資、購買力の高まりによる需要拡大もあり、荷動きの大幅な増加を予想。燃料費、鉄道などの内陸費用、ターミナル関連費用、環境対策費用などのコストが増加する状況のため、一層のコスト削減と運賃値上げに努め、増収減益を見込む。
不定期専用船部門では、世界的な資源輸送の需要増加が見込まれており、ドライバルク市況は引き続き高値圏で推移する見込み。しかし「北京五輪後の中国経済動向など不確実な要因もある」として、次期の市況見通しは「前期に比べやや不安定なものになる懼れもある」とした。同社では、新造船13隻の投入による事業規模の拡大に加え、中・長期積荷契約の積み増しにより安定収益の増大に取り組む。
自動車船ては、新興国や資源国を中心として引き続き旺盛な荷動きを予測、世界の海上荷動きは強含みで推移するとして、完成車トレードの拡大に対応し、新造船4隻の投入により営業規模の拡大と安定的な収益の確保に努める。
エネルギー資源輸送部門では、LNG船隊は次期に14隻の新造船が加わり、合計47隻となる。引続き多様化するLNG輸送のニーズに柔軟、積極的に取り組む。油槽船については、新造船竣工によって船腹供給量が増加することから船腹需給が一時的に緩む局面を予想しつつも、中国、インドを中心として世界的な石油需要の伸びに加えて、安全輸送や環境保護への要請の高まりからシングルハルタンカーの処分促進が見込まれ、運賃市況は総じて堅調に推移する、している。
ドイツの重量物専業船社SALグループと共同で展開している重量物船部門では、既存船隊に1400トン(700トン×2)の吊り上げ能力を持つクレーンを装備した新造船3隻を加え、合計18隻とする。
次期の連結業績は売上高1兆3400億円、営業利益1240億円、経常利益1210億円、当期純利益780億円を見込む。

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