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商船三井/08年3月期、全面的に過去最高業績、営業益2912億円

2008年04月28日/決算

商船三井が4月25日に発表した2008年3月期連結決算は、売上高1兆9456億円(前期比24.1%増)、営業利益2912億円(73.3%増)、経常利益3022億円(65.6%増)、当期純利益1903億円(57.4%増)と、全面的に過去最高の業績となった。
好業績をけん引したドライバルク船は、中国による鉄鉱石輸入量増大に加え、ブラジルなど遠隔地からの買い付けが増えたことなどを背景に船腹需給が引き締まり、ケープサイズをはじめとしてスポット運賃市況はほぼ一本調子で上昇、11月には史上最高値を記録、その後一時的な調整局面はあったものの、1年を通じて高い水準で推移した。
タンカーの運賃市況については、原油船(VLCC)やLPG船は船腹余剰感から低迷する一方、石油製品船(MR型)は比較的底堅く推移。コンテナ船事業は、積取量で前期を大幅に上回り、欧州航路などで運賃の修復を実現たが、燃料コストの増大、内陸鉄道料金などのコストも上昇したため、利益は小幅増にとどまった。
ドライバルク部門は、鉄鋼原料船、電力炭船、木材チップ船などの長期契約による安定収益を確保するとともに、不定期船も含めフリー船隊を生かした積極的な営業活動を展開し、好調な市況の恩恵を享受。中近東向けプラントの荷動きが活発になるなど重量物船も好調で、売上高、利益とも前期を大幅に上回り、過去最高の業績を達成した。
油送船は、石油製品船がほぼ年間を通じ堅調な市況に支えられた。原油船(VLCC)の市況は、年末に一時的な高騰はあったものの、原油高による荷動きの停滞と米国のエネルギー需要不振などで、通期では概して低水準に推移した。LPG船の運賃市況も同様に低水準で推移したほか、費用面で良質な船員確保のための船員費、入渠費用などの船費増の影響を受けた。
LNG船は、期中に新造船が2隻竣工し、船隊規模が拡大。新規プロジェクトとして国内向けに1隻の参画が決まった。期中は既存船が長期契約の下順調に稼動したが、主として円高ドル安と船舶償却方法の変更により、減益となった。
自動車船部門は、日本・極東出し貨物の好調な荷動きのもと、2006年度から07年度にかけて12隻の新造船を投入し、輸送能力の拡充を図った。これにより、輸送台数は4%増の278万台となった。また大西洋域での三国間航路の損益改善も業績に寄与したものの、燃料油価格や船舶コストの上昇、出荷台数が予想を上回ったことに伴う船腹不足への対応コストが損益を圧迫したことから、減益となった。
コンテナ船事業の荷動きは、基幹航路であるアジア-北米航路(東航)が低調で、前期比とほぼ同水準。アジア-欧州航路や南北航路など他航路はいずれも順調な伸びを示した。期中に新造船11隻が竣工し、アジア-欧州などの基幹航路における船舶の大型化を図ったほか、アジア-黒海、中東-アフリカ、アジア-アフリカ航路などの新サービスを開設したことで、積取量は前期を大幅に上回った。
さらに、欧州航路などで運賃の修復を実現し、売上高は21%の大幅増となった。一方で、燃料油価格の高騰に加え、北米内陸鉄道料金、ターミナル荷役費、運河通峡料などの諸コストが上昇したため、前期からの損益改善幅は若干にとどまった。
また、国内4か所、米国2か所で自営ターミナルを運営するコンテナターミナル業、港湾運送などの周辺事業の業績は、コンテナ取扱量の伸張を支えられて堅調に推移した。
航空貨物取扱業は、日本発着貨物の荷動き伸び率が低調だったため、利益はほぼ横ばい。商船三井では買付け物流(OCB)事業で、荷受地から最終仕向地まで一貫したサービス提供を可能とする体制の整備・強化を進めており、新たに米国大手小売チェーンから中国、香港におけるバイヤーズコンソリデーション業者として選定されるなど、取扱いを順調に伸ばしている。
次期は不定期専用船事業で、中国による鉄鉱石輸入量の伸び率が前年同様に年率10%を超える見込みで、「ケープサイズなどの船腹供給は限られていることを勘案し、ドライバルク市況は引き続き強含みで推移する」と想定。
油送船部門は「原油価格の上昇と米国の景気動向が運賃市況に与える影響が懸念されるものの、シングルハルタンカーの退出も一方で見込まれているため、船腹需給が大幅に緩む可能性は低い」と予想している。
LNG船部門は、長期契約に基いた安定利益を見込んでいる。自動車船部門では、増加が見込まれる完成車の荷動きに対応するため、年度中に14隻の新造船を投入し輸送力を増強する。
コンテナ船事業は、燃料油などコスト上昇の影響を抑制するため、各航路で基準運賃水準と運賃体系の見直しを行う。損益が悪化した北米航路では、変動制燃料油サーチャージの導入も含めた運賃見直しに取り組んでいる。荷動きは南米、アフリカ、中近東向け航路で堅調な伸びを見込む。アジア出し北米向けの荷動きについては減速することが見込まれるが、営業努力で積取り増に努めるとともに、季節的要因による需給の緩和には減便などで一時的な船腹供給調整を行うことで対処する。
通期の連結業績は、売上高2兆500億円、営業利益2800億円、経常利益3000億円、当期純利益2000億円を見込む。

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