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国立情報学研究所/エコ物流を実現するプログラム言語開発

2008年05月26日/IT・機器

国立情報学研究所(以下:NII)は、ネットワーク技術を活用したプログラム言語を使って、エコ物流(トラック配送の効率化、CO2排出量削減)を実現する方法を開発した。
トラックによる二酸化炭素(CO2)の排出量を減らす方法として、共同集配やミルクラン方式などのエコ物流が期待されているが、実際の運用では集配における様々な制約や要求、例えばジャストインタイムや集配順序などを満足した共同集配トラックを見つけることが難しく、エコ物流は普及が進んでいない。
今回の方法では、集配順序やタイミングを記述するためのプログラム言語により、トラックの集配経路をプログラム、集配制約・要求をプログラムの仕様として扱い、プログラムの正当性や制約・要求を満足するかどうかを調べる方法をつかって、集配制約・要求を満足して、移動回数や距離が最小となるトラックを選ぶことができる。
これにより多様な集配制約・要求とCO2排出量が少ないトラック運行を両立することができるようになる。
<システム概念図>
20080525kokuritsu.gif
今回開発した方法は、各種の制約に対して、トラックの集配順序は、プログラムを実行したときの処理の流れと似ていることに着目して、プログラム言語をつかって、集配順序や制約・要求を表す。
一方、プログラムの開発では、プログラムを実際に動かす前に、プログラムが仕様を満足しているかを検証したり、性能を解析する検証手法を応用し、移動回数や距離が短くなるトラック経路を見つける方法を開発した。
この結果、トラックの集配経路をプログラム、集配制約や要求を仕様として扱えば、トラック経路が、仕様、集配制約や要求を満足しているか、その実行に無駄がないのかを調べることができる。
ただし、プログラムと集配はそもそも違う概念で、既存のプログラム言語では集配順序やタイミングにおける制約や要求を表せないため、集配経路や制約を記述するための専用のプログラム言語と、プログラムの検証手法を使った経路選択手法とを世界で初めて開発した。
このプログラム言語では、トラックが集配先をまわる順番、例えばある集配先にいってから別の集配先に行くことや、逆に複数集配先を順序不定でまわってよいことを表し、ミルクランや共同集配では複数集配先や複数荷物の集配制約を満足する必要があり、一台のトラックが複数の集配順序を同時にこなしてよいことなどを表せるようになっている。
この方法は導入・運用コストが少なくなるように設計されており、最適なトラックを紹介するトラック選択サーバと、トラック運行事業者と集配先に用意された端末から構成している。
このトラック選択サーバは、GoogleなどのWeb検索エンジンに似ており、トラック選択に特化した検索エンジンとみることができる。
このサーバは各トラックの集配経路のうち、集配順序やタイミングなどの情報をその内部のデータベースに保存し、サーバはトラックを探している集配先から探したいトラックの制約や要求を受け取ると、該当するトラックをデータベースの中から探す。
もし複数のトラックが該当する場合は、その中で移動回数または移動距離が一番短いトラックを選んで、問い合わせ結果としてその集配先に返す。
また、トラックの集配順序と時間は、トラックの運行計画書から機械的に変換できるので、このシステムを使うためにプログラム言語を覚える必要はなく、集配請求も現在、ビジュアルプログラミングによる記述システムの開発が進んでおり、プログラミングは不要になる予定。
トラック自体にも機器追加や改造は一切不要で、このプログラム言語は集配制約をコンパクトに記述することができるので、RFIDタグや2次元バーコードの容量内に集配制約を書き込むことができる。
この結果、商品に添付したRFIDタグやバーコードに格納された集配制約を読み込んで、そのまま経路選択サーバに商品配送に最適なトラックを問い合わせることもできる。
今回開発した方法により、エコ物流が本格的に普及すれば、物流分野のCO2削減が期待でき、現在のエコ物流では限られた事業者だけが参加しているが、本研究では集配経路や集配制約を記述するプログラム言語を開発したことから、このプログラム言語で集配経路や制約を記述すれば誰でも共同集配
などのエコ物流に参加できることになり、エコ物流を広く普及することにつながる。
今後は物流団体への啓蒙活動を行うとともに、実証実験を行う予定。
問い合わせ
国立情報学研究所
佐藤一郎/アーキテクチャ科学研究系教授
TEL.03-4212-2000
http://www.nii.ac.jp

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