川崎汽船が10月27日に発表した2010年3月期第2四半期決算によると、売上高は4004億5800万円(前年同期比45.6%減)、営業損失424億9900万円(前期は747億2900万円の営業利益)、経常損失498億7500万円(751億3600万円の経常利益)、当期損失432億5800万円(511億5600万円の当期利益)となった。
部門別の概況は、コンテナ船部門で荷動きの減少に合わせて事業規模を縮小した。北米航路では東航の積高が11%減少し、西航では18%増加。全体では2%減少した。欧州航路も全体の荷動きが減少し、全体の積高は6%減(東航32%増、西航21%減)となったため、北欧州サービスを1便休止するなどして対応した。南北航路、アジア航路でも積高は減少しており、川崎汽船全体の積高は6%減となった。運賃の修復努力や全航路での減便合理化などを進めたが、減収減益となり経常損失を計上した。
不定期専用船部門は、6月上旬までは中国の鉄鉱石輸入が好調だったことなどで市況は回復したが、7月中旬以降は調整局面となり、効率的な配船や運航コスト削減に努めたが減収減益となった。
自動車船では、欧米などでの販売不振に対応し各メーカーが在庫調整に着手したため、輸送台数は5割弱とほぼ半減となった。配船の合理化や燃料費の削減などと高齢船の処分促進を並行して進めたが、自動車船、部門全体ともに減収減益となった。
エネルギー資源輸送部門では、液化天然ガス輸送船の長期契約船は順調に稼動したが、短期傭船市況が低水準だったため減収減益となった。油槽船は原油・石油製品の市況が低調でやはり減収減益を記録。部門全体でも減収減益となった。6月に新造VLCCが船隊に加わり、VLCCは7隻となった。
重量物船部門では、前年度に成約した高運賃貨物の船積み比率が高かったこと、新造大型船の吊上げ能力を生かした大型貨物の獲得などで減収増益となった。
内航・フェリー部門では、鉄鋼・セメントメーカー向け、製紙メーカー向け専用船は安定輸送量を確保。内航RORO船は東京-苫小牧航路を休止し、関東発着の貨物は常陸那珂航路に集約した。八戸-苫小牧のフェリー航路は想定を上回る航海数を確保し、輸送量が増加した。海運業セグメント全体の売上高は1813億9300万円、営業損失は217億3000万円となった。
物流・港運事業では、昨秋から落ち込んだ荷動きが中国・アジア発着の航空貨物を中心に回復したが、海上貨物など全般的な荷動きは回復せず減収減益となった。物流・港運事業セグメントの売上高は219億6100万円、営業利益は8億5400万円だった。
通期はコンテナ船部門で、需要に合わせた船隊規模の調整とアライアンスを組む船社と強調した航路合理化などで、コスト削減を推進。不定期専用船部門では、ドライバルク船の粗鋼生産量回復などを背景にした需要の堅調さなどから底堅い推移を見込む。
自動車船は、在庫調整が進み荷動きは回復が見込まれるが、引き続き配船の合理化に取組む。油槽船は新興国向けの石油需要が期待できるが、全体的な回復にはまだ時間がかかる見通し。
これらの見通しから、売上高8100億円(34.9%減)、営業損失590億円、経常損失710億円、当期損失790億円を見込んでいる。また、来期以降の新造船竣工の後ろ倒しなど構造改革費用として、総額約500億円を計上する見込み。