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ニチレイ/低温物流事業の通期売上は2%減、戦略の進捗状況

2009年10月29日/SCM・経営

ニチレイが10月29日発表した2010年3月期下期の事業戦略によると、低温物流事業の通期の売上高は前期比2%の減収を見込む。

地域保管は、景気後退から業界の入庫量減少が著しいが、強い集荷力を生かし上半期は前年を上回る在庫率を維持、下半期も大きな崩れはないものの通期は1%減収になる見通し。

ネットワークは運送業務の新規顧客獲得が目標を下回る上に既存センターの売上減少で目標の達成は難しいが、下半期は新センター2件の稼動もあり通期では3%の増収になる見込みだ。海外は欧州がユーロ安により為替換算だけで14%程度目減り、輸配送と果汁専門冷蔵倉庫の取り扱い減も響いた結果、海外事業全体では通期26%の減収。

通期の営業利益は前期比4億円の減益を見込む。地域保管は環境悪化の中でも前年を上回る在庫率を維持、下半期も大きな崩れなく前期比横ばい。海外の業績は下半期に底打ちの見込みだが、当面ポーランド新拠点の負担もあり通期8億円減益。ネットワーク事業は運送需要やセンターの低迷を作業効率の改善などでカバーし通期3億円増益となる見通し。

今期に入り冷蔵倉庫業界では畜産物の滞貨解消や商社や食品メーカーの原料買付けの絞込み、製品在庫の圧縮など、景気後退の影響から入庫量が減少。冷蔵倉庫の総合在庫率は依然前年を上回る水準で推移、営業利益も前期比増益となって全体の業績を下支えしている。

2004年春の冷蔵倉庫運営会社の地域分社化以降、各地域に密着した営業活動を強化することで、総合在庫率は業界を上回る水準を維持。差はさらに拡大を続けている。

冷蔵倉庫業界の入庫数量と総合在食料品全般の低価格化傾向を反映して、スーパーの物流センターを請け負うTC(通過型センター)の売上げ算定基礎となる、通過物量当たりの商品金額が減少、作業効率の向上や配送の見直しなどでコストダウンを進めており、収益面では前年水準を維持している。

下半期には2件のTCを新設、来年度も2件の新規受託が決定しており事業基盤の拡大を進める。一方で、運送事業は新規顧客開拓などで遅れが出ていることに加えて、社内加工食品部門の冷凍食品の取扱い減少もあり苦戦している。地域保管事業所と連携した地域産品の集荷や常温品の取り込みによる地方発便の積載率向上やTCの配送車輌を活用し、価格を抑えたサービスで新規顧客の開拓を進める。

海外の事業をみると、欧州では景気後退の影響で運送需要の低下と競合先との運送料金競争が激化した。大口顧客からの冷蔵倉庫料金の引き下げ要求なども業績低下要因となった。

一方で、昨年来中南米の天候被害による冷凍果汁の生産量減退が響いてきた果汁専門冷蔵倉庫が下半期に入り在庫量が拡大しはじめている。チキンの搬入が活発でロッテルダム地区では高水準の在庫量を維持している。オランダ内陸部の冷蔵倉庫では冷凍野菜の集荷が好調なことなど、好転の兆しが現れている。

ポーランドではラドムスコセンターが8月に稼動を開始。当面は新拠点費用として、減価償却費の増加や安定稼動までの費用負担が重荷となる。

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