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三菱重工など3社/バイオエタノール施設が本格稼働

2009年11月30日/物流施設

三菱重工業、白鶴酒造、関西化学機械製作の3社は11月30日、三菱重工業神戸造船所二見工場内で建設を進めてきたバイオエタノール製造実証施設が竣工し、本格稼動を開始すると発表した。

稲わらや麦わらなどのソフトセルロースから自動車燃料用のエタノールを製造する実証施設で、非食用の草本系植物を連続して前処理することが可能な設備の開発は国内で初めて。
 
実証施設は、農水省のソフトセルロース利活用技術確立事業の一環(兵庫県ソフトセルロース利活用プロジェクト)としてことし4月から建設を進めていた。3社が持つ技術を活かし、三菱重工業が前処理・糖化工程を、白鶴酒造が発酵工程を、関西化学機械製作が蒸留精製工程をそれぞれ担当している。

三菱重工業と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が共同で開発した方式で、原料となるソフトセルロースを高温高圧の反応器内に連続投入できるのが特長。前処理・糖化工程において添加するのは熱水と酵素のみのため、プラント建設コストや維持管理コストの低減をはかることが可能だ。白鶴酒造が担当する発酵工程では、日本酒製造に用いる酵母と同種の遺伝子非組換え酵母を用いており、蒸留精製時に発生する副生物を、稲わら代替として、安全有効に農地へ還元できることが期待されている。

エタノール製造技術に加え、稲わらなどの原料の効率的な収集・運搬についても、兵庫県の外郭団体であるひょうご環境創造協会を中心としたグループで並行して検討が進められている。兵庫県ソフトセルロース利活用プロジェクト全体として、2010年末までに1リットル当たり90円以下のコストで製造できる技術の実証を目指している。

カーボンニュートラルとされるバイオエタノールは、石油などの代替燃料として需要が拡大しており、サトウキビやトウモロコシの実などを原料とするものがほとんどで、穀物の価格高騰の誘因のひとつとなってきた。非食用植物を原料としたバイオ燃料製造技術のセルロース系原料の場合は生産効率が悪く、エタノールの製造に大きなエネルギーの消費が必要となるなどの難点があった。

今回のプロジェクトは、非食用の草本系植物を用いながら、従来のエタノール製造手法とコスト競合できる技術の確立を目指すとともに、酸、アルカリといった化学薬品や遺伝子組換え酵母を使用しない、環境親和性のある手法を取り込むことで、国内農業と共存共栄できる地産地消型のソフトセルロース活用の道をひらくことを目指している。

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