(株)近鉄エクスプレスの平成17年3月期中間決算短信(連結)の経営成績は下記のとおり。
米国や中国での設備投資の増大、デジタル家電を中心とする個人消費の拡大により、全体として景気は拡大基調となり、我が国の経済は、デジタル景気や中国市場の拡大を追い風に、輸出企業を中心として大きく業績を伸ばした。
設備投資の復調などを加えた好調の波は建設機械、半導体製造装置、電子部品などに幅広く影響を与え、このような状況下、平成14年11月に策定した「21世紀KWEグランドデザイン」の基本戦略に沿って、販売拡大を進めた。
①日本
輸出航空貨物
アジア向けの半導体製造装置、電子部品、自動車部品等、また欧米向けでは主にデジタル関連品の出荷が好調に推移した。
中国、米国向けにはインフラ需要として建設・農業用機械等の大量出荷を取扱った。さらに、米国西海岸の港湾混雑による航空輸送へのシフトなどの影響もあり、取扱い物量は前年同期実績を上回り好調に推移した。当中間期の当社取扱い重量実績は前年同期比30.4%増となった。
輸入航空貨物
情報通信機器、半導体・半導体製造装置などの取扱いが順調に推移した。一方で、ファッション関連などの保管・流通加工の取扱いが伸び悩み、コンピュータ関連品の出荷が海上輸送にシフトされた影響もあり、全体としては前年同期並みの実績となった。当中間期の当社取扱い件数実績は前年同期比で1.2%増となった。
海上輸出貨物
アジア向けの電子部品、設備機械、半導体・液晶製造装置などの取扱いが増加して、物量は拡大した。なかでも、特殊車輌コンテナーを活用した輸送は過去最高の取扱い実績となった。海上輸入貨物は、航空輸送からシフトしたコンピュータ関連品、アウトドア用品、生活関連雑貨、量販店用の家電品などを中心に取扱いが増加し、取扱い物量実績は前年同期比25.0%増となった。
一方、市場での競争激化に対処するため、グループをあげて費用節減にも取り組み、総人件費の抑制を中心に間接原価、一般管理費の低減に努めた。
コスト合理化策の内容は、①要員の適正配置と業務の合理化による総合人件費の抑制、②業務組織の合理的な再配置、③貨物の集約による混載効率の向上、④貨物の破損や紛失を防ぐためのULDの組立て、⑤実運送会社(航空会社や船会社)の選別による運賃原価の抑制、⑥集配送業者に対する原価管理の徹底、などを推進した。
サービス体制の強化を目的とした物流施設の充実も推進した。ロジスティクス需要の拡大と物量の増加に対応するため第4原木ターミナルの建設、並びに平成17年2月に開港する中部国際空港におけるサービス体制を整えるため中部国際空港ターミナルの建設に着手し、さらに関西国際空港に隣接する物流施設として、りんくうターミナルの建設を決定した。
②米州米州は、米国法人の航空輸出入貨物が、半導体関連品、デジタル家電品、自動車関連品などの取扱いを中心に堅調に推移した。しかしながら、Kintetsu Intermodal(U.S.A.)Inc.(倉庫業)の業績が振るわず、全体としては低調に推移した。
③欧州・アフリカ欧州・アフリカは、中近東地域での販売を強化するためアラブ首長国連邦のドバイに設立した、「Kintetsu World Express(MiddleEast)FZE」が4月より営業を開始した。航空輸出入貨物は、デジタル家電品や自動車関連品などの取扱いが好調で、ドイツ法人を始め、ベネルクス、英国、南アフリカ、イタリアなどの法人で前年同期の取扱い物量を上回った。近年需要が高まっている中・東欧向け貨物につきましても販売強化により、ドイツ・フランクフルトを経由した取扱いが増大した。
④アジア・オセアニアアジア・オセアニアは、中国を始めとする東アジアを中心に、域内外で電子部品などの貨物輸送需要が好調に推移し、全体として取扱い物量が増大した。
中国におけるサービス体制の強化のため、5月に上海の外高橋に第3倉庫を開設、6月には外高橋保税区と杭州輸出加工区でリード・タイムを短縮する「直通式」保税輸送ライセンスを取得した。またサービスネットワークの拡充として、5月にタイ法人がチェンマイ出張所を、6月には台湾法人が桃園に第2倉庫を、それぞれ開設した。
この結果、当中間連結会計期間におきましては、営業収入は113,960百万円(対前年同期比13.9%増)、営業利益は3,978百万円(同38.5%増)、経常利益は4,113百万円(同30.5%増)となり、法人税等を差し引いた中間純利益は2,103百万円(同29.3%増)となった。
通期の見通し
今後の世界経済は、高騰を続ける原油価格や、米国の金利上昇、欧州経済における内需回復の遅れ、また中国での経済引き締め政策、などの不安定要因を抱えており全体的には下振れ懸念があるとされている。
また、我が国経済は、原油高や米国・中国経済の減速の影響により、短期的には調整局面を迎えるものと思われ、このような経済予測から、貨物輸送・ロジスティクスは、デジタル家電品や半導体、半導体製造装置、電子部品などのハイテク製品に一部減速感が予想されるものの、長期的には自動車関連品などの需要増加も含め、航空及び海上貨物輸送、保管・流通加工なども底堅く増加するものと思われる。
引続き米国、中国、日本を結ぶ貿易トライアングルの成長が注目されており、同社グループはこれらの地域に経営資源を集中する。「21世紀KWEグランドデザイン」に示しました4つの基本事業戦略(①中核事業=コアビジネスである国際航空輸送での利益拡大、②ロジスティクス・サービスの提供、③海上事業の拡大、④成長市場<中国>での先行展開)を積極的に推し進め、業績の向上に努力する。
当連結会計年度は中期経営計画(3ヵ年)の最終年であり、中国での航空一代ライセンスの取得箇所の拡大、その他アジア拠点の拡充、欧州大手フォワーダー「キューネ・アンド・ナーゲル社」との業務提携の強化など、経営の前向きな「選択と集中」を推進し、グループは引続きグローバルな事業を通してサービスネットワークの充実を図っていく。
これらの状況を勘案して、平成17年3月期の営業収入は238,500百万円(対前期比17.5%増)、営業利益は8,600百万円(同13.6%増)、経常利益は8,800百万円(同10.8%増)を見込んでいる。