大日本印刷(株)(以下:DNP)は、これまで実証実験や実ビジネスを進めてきた食品トレーサビリティ事業を、ICタグ事業化センターに統合し、本格的な事業展開を開始する。
今後は、ICタグをはじめ、ICカードや生体認証などの各種認証技術などを組み合わせ、より信頼性の高いトレーサビリティの仕組みを構築するとともに、農産物・水産物など品目ごとの使用環境に合わせたトレーサビリティシステムの開発、これまで個別に提供していたトレーサビリティシステムのASP事業化などを進めていく。
食の安心・安全への要望から拡大が見込まれる食品トレーサビリティ事業と、急成長が期待されるICタグ事業を連携させることで、付加価値が高い総合的な食品トレーサビリティシステム事業の展開を行い、2010年には200億円の売上を見込んでいる。
DNPは、1998年より、自社の容器・包装資材の生産ラインにおいて、投入した原材料(紙、フィルム、インキ等)や工場内の半製品、出荷する製品などにトレースコードを付与し、不良品が発生した場合の原因調査や、その原因が影響する範囲の特定などに活用してきた。
2002年には、食品の安全性や品質表示に対する生活者の関心の高まりを受けて、この容器・包装資材生産管理システムをベースに、生鮮食料品の生産・食品加工・食品流通などの各現場で容易にデータ入力が行える食品トレーサビリティシステムを開発した。
現在、約250の生産者団体や食品メーカー、小売業、消費者生活共同組合、外食団体などの他、農林水産省のトレーサビリティシステム実証実験で採用されている。
一方、DNPは、ICタグを使った、さまざまなシステムの開発や販売を進め、ICタグは、バーコードに比べて非常に多くの情報量を扱えることから、同一商品であっても、個品ごとに異なる商品コードを割り振ることができることや、温度センサー機能を持つICタグの品質管理への使用など、トレーサビリティシステムへの展開が期待されている。
このようなことから、現状の番号やバーコード、2次元バーコードにICタグを加えることで、さまざまな要望に応えられるトレーサビリティシステムを提供することとした。
目視番号やバーコード、2次元バーコード、ICタグなど、さまざまな自動認識技術を、用途や目的、運用方法にあわせて選択できる、応用範囲の広いトレーサビリティシステムを提供する。
トレーサビリティシステムを導入する企業や団体などのオリジナルコードによる管理に加え、ユビキタスIDセンターが標準化を進める次世代商品コードであるucodeやEPC globalが標準化を進めているEPCに対応したトレーサビリティシステムの提供を行う。
既に採択されている農林水産省の平成16年度トレーサビリティ実証実験では、イオングループなどとともに、農業団体・消費者生活共同組合などにトレーサビリティシステムを提供し、実証実験では、一部の野菜などで温度センサー機能付ICタグを使った品質管理や、ユビキタスIDセンターが進めるucodeの一部利用など、さまざまな試みを行っている。
DNPのトレーサビリティシステムについて
・生鮮食料品の生産・食品加工・食品流通などの各現場におけるデータ入力システム
各現場において、若年層から高齢者層まで幅広い年齢層の作業者が、無理なく入力を行えるシステムを提供。
具体的には、(1)パソコン(Web画面)を使った入力(2)通信機能搭載型のPDAを使った入力(3)携帯電話を使った入力(4)電話(音声応答システム)を使った入力(5)FAX-OCRを使った入力(6)FAX送信後の代行入力の6種類の入力方式から、それぞれの現場で最も使いやすい入力システムを選択する。
入力ミスや虚偽の入力を防止し、データに客観性を持たせるため、異常値の有無をシステム的にチェックする他、監督者によるチェックならびに第三者監査を導入する。
・入力データを蓄積するデータベースシステム
入力されたデータを蓄積していくデータベースシステム。データベースサーバは、DNPが管理・運営を行う。
トレーサビリティシステムでは、生産や加工などの各段階にある半製品や原材料などに対し、ロット単位で固有のトレースコードを付与し、管理を行う。このトレースコードと関連付けて、原材料情報、生産情報、加工情報、流通情報などを蓄積する。
トレースコードは、工程が変わるごとに、分割・統合が行われる。また、管理する食品が生産者から加工業者に渡った場合など、事業主体が変わると、それぞれが独自のトレースコードを使うケースもある。当データベースでは、こうしたトレースコードの関連を管理している。
データベースからの情報出力
データベースに蓄積された情報から、データ抽出、編集を行い、インターネットやエクストラネット、店頭端末などへの公開を行う。データ公開は、既に400社以上のWebサーバホスティングを請け負っている『メディアギャラクシー』を活用する。
同システムは、既に、果汁飲料業界向けトレーサビリティシステムや、農業団体向けトレーサビリティシステムなど約250の生産者団体、食品メーカ、小売業、消費者生活共同組合、外食産業などで採用されている。