ヤマトホールディング(ヤマトHD)傘下のヤマトパッキングサービス(YPC)は3月7日、流通プラットフォーム拠点「京浜島流通トリニティーセンター」を本格稼働する。
ヤマトグループの「バリュー・ネットワーキング」構想に基づく高付加価値機能を提供するために開設したもので、設備投資額は約15億円。
ヤマトHDの木川社長は「京浜島流通トリニティーセンターは、製造業の本業の前後の工程や作業でバリューを増す場所として開設。すでに、鳥取と秋田で、支持を得たことで東京でも展開することになった。羽田クロノゲートとも至近距離にあり、グループ全体で進めているバリュー・ネットワーキング構想の一環」と説明した。
京浜島流通トリニティーセンターは、1都7県の関東圏にある工業メーカー・商社にとっての製造・販売の前工程(発注から工場の納品物の荷受け)と後工程(製品の出荷や決済)を担うことで、物流コストの削減や本業以外にかかるコストの変動費化による本業特化を支援する。
YPCが開発したWEBシステム「EASY」の利用により、サプライヤーへの発注手続きを代行したり、必要な数量を必要なタイミングで納品する、調達サイドに立った最適な輸送モードの設計などを行う。
納品物の荷受け作業の代行(開梱・検品・仕分け・製造ライン毎にジャストインタイムでの搬入・「EASY」システムによる荷受け完了データ作成等)や製造ライン投入前の簡単な加工なども行う。
センターのコンセプトはサプライチェーンをコンパクト(小型・圧縮・最適)にすること。物流工程をコンパクトに、事務処理工程をコンパクトに、エネルギー消費をコンパクトにを掲げている。
そのため、出荷では関東圏内の工場で製造完了したものをその日に荷受けするため、20時まで夜間に受け時間を延長。土日も作業可能とし、リードタイムの短縮を図っている。
事務処理では、顧客の発注データを「EASY」を活用することで、入庫処理から書類作成・作業進捗が確認できる環境を提供する。「検収処理」や「決済代行処理」も可能だ。
エネルギー消費では、作業フロア内の品物移動はフォークリフトを使用せず、パレット台車を活用し、電気・ガソリンの消費量を削減する。
なお、近くにある羽田クロノゲートとの棲み分けをYPCの江頭哲也社長は「消費財のように軽くて小さく、早く処理しなければならないものがクロノゲートです。トリニティーセンターは基本的にBtoBで重くて、大きいもの、人間の手で処理しにくいものが中心になります」と話す。
現在、輸送も路線便や船便などが中心だが、IT機器のように、今後部品の軽薄短小化が進めば、クロノゲートでの宅急便需要や航空便需要も高まる、と見ている。
YPCでは、新たに4社の新規顧客を獲得し、2014年度中に10社の獲得を目指している。既存顧客数は約80社だ。
■概要
名称:京浜島流通トリニティーセンター
所在地:東京都大田区京浜島1-3-5
提供サービス:調達支援ソリューション、販売支援ソリューション、グローバル調達支援サービス、輸入開梱サービス、納品物の荷受け代行サービス、決済代行サービス、グローバル販売支援サービス、出荷加工サービス、輸送管理サービス、決済代行サービス
規模:鉄骨造3階建
延床面積5526.47㎡
※耐荷重:1F 2.5t/㎡、2F・3F 1.5t/㎡
装備:垂直搬送機3台・大型クレーン3機(最大15トン)
少量危険品保管庫・非常用電源(27時間供給可)の設置