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世界銀行/「各国の物流格差は解消されていない」と指摘

2014年03月24日/調査・統計

世界銀行は3月20日、貿易・物流の効率性をめぐる各国間の格差は、2007年以降少しずつ改善しているが、今もなお解消されていない、と世界銀行グループの報告書が指摘していると発表した。

格差が容易に解消されない理由は、途上国の物流関連の改革は関係する部門や国が多い上、この分野への投資はハード面とソフト面の両方で平行して進める必要があるなど複雑なためとみている。

貿易を通じた地域統合の一番の阻害要因は、非効率なサプライチェーンだという意見がほぼ一致した見方だとしている。

報告書「物流業界と競争2014:グローバル経済の中の貿易・物流(仮題)Connecting to Compete 2014: Trade Logistics in the Global Economy」は、税関の効率性、インフラの質、輸送の適時性など、開発面で重視される貿易の諸要素に着目して160か国をランク付けしている。

このデータは1000人以上の物流事業者を対象とする調査から導き出されたもので、世界銀行グループの国際貿易ユニットは2007年以降、ほぼ2年に一度「物流パフォーマンス指標(LPI)」を発表している。

物流パフォーマンス指標は、ドイツが物流パフォーマンス全般で世界1位、ソマリアが最下位であった。

以前の調査同様、今回も高所得国が上位10位までを占め、低所得国の中では、マラウイ、ケニア、ルワンダが上位を占めた。

過去の調査では、全ての国が改善しつつある中、効率性の低い国は、高い国より早いペースで指標全体を向上させている傾向が認められた。

2014年度版の同報告書は、物流の効率性を改善するには、低所得国、中所得国、高所得国がそれぞれ異なる戦略を用いる必要があると指摘する。

低所得国では一般に、インフラと基本的な国境管理の改善が進歩の一番の原動力になる。そのためには、税関当局の改革が必要だが、それ以外にも、動・植物検疫などを行う他の国境管理当局の効率性改善が求められるなど、多面的なアプローチが必要とされる場合が多い。

これとは対照的に中所得国では、インフラや国境管理が比較的、円滑に機能している。こうした国では、物流サービスの改善、特に輸送、貨物取扱、倉庫保管といった専門機能をアウトソースすることで最大の成果が得られる。

高所得国では、「グリーンな物流」(環境にやさしい物流サービス)に対する認識と需要が高まりつつある。2014年のLPI調査では、OECD諸国向けの物流を手がける回答者の約37%が環境に配慮した物流ソリューションの需要があるとの認識を示した。他方、低所得国向け物流事業者についてはわずか10%だった。

なお、世界銀行グループは、貿易円滑化に向けて、クライアント国に多くの支援を行っている。2013年度、世界銀行グループは、物流が、途上国の国際貿易システムへの参加を阻んでいるとの認識の下、貿易円滑化プロジェクトに58億ドルを提供したとしている。

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