ヤマトホールディングスは10月5日、元パナソニックのテレビ工場跡に関西ゲートウェイ(以下:関西GW)を開所し、施設内を公開した。
関西GWは大和ハウス工業と共に開発し、自社物件の多いヤマトグループの大型物件では珍しく賃貸借契約を結んでいる。
関西GWが担当する関西エリアは人口2072万5000人、世帯数883万8000人、起業す70万3318社、約80兆円という、首都圏に次ぐ経済規模を持っている。今後、大阪で開催が予想されている国際万国博覧会もあり、東名阪の需要は一層重要度を増し、さらに効率化が求められているとしている。
関西GWの大きな役割が幹線輸送の改革。3つのゲートウェイ完成により、従来は集荷した荷物を夜間にまとめて幹線輸送していたが、多頻度運行が可能となったことで、日中からゲートウェイ間を多頻度運行することでスピード納品を実現する。
多頻度運行と共に、輸送力の増強のために、25mのフルトレーラ「CONNECT」を厚木GWと関西GWにそれぞれ1台ずつ、計2台を導入する。
積載量の大幅な増大が見込まれ、従来のセミトレーラに比べ2.1倍の積載量を誇る。現在、全国物流ネットワーク協会内でも協議を進めているが、ヤマト運輸単独で運営するのではなく、各社共同で幹線輸送の輸送量増加と合理化を進めていく考えだ。
今後、少子高齢化、労働力不足等で一層ドライバー不足となることを考慮したもので、さらには生産性を高めることで長距離ドライバーの労働改善を図ることを目的としている。
ヤマトHDの山内社長は「何よりも今は働き方改革が一番重要だと位置付けている。ドライバーが長距離を走り、到着先で泊まることなく、家に帰って休める、そういう形を実現していくつもりだ。ゲートウェイ構想はそのための一つの方策」と話した。
関西GWを活用した付加価値機能には、「修理・メンテ・アッセンブル」「医療機器の洗浄」「クロスマージ」「オンデマンドプリント」「包装技術研究開発」などがあり、すでに羽田クロノゲートや厚木、中部でも実際に始まっている。
なお、施設内の設備総投資額は約60億円で、最新マテハン機器のクロスベルトソータやスパイラルコンベア、無人ボックス搬送機などを導入している。
無人ボックス搬送機はパナソニック社製で、関西GWの3階にある冷蔵・冷凍施設内に4台導入。宅急便では形態がさまざまで、試験的にクール専用で実証実験を進めていく。
山内社長は「厚木、中部に続く関西GWの完成により、バリューネットワーキング構想での止めない物流、いわゆるゲートウェイ構想の整備が完了した。これにより、付加価値の高い物流サービスを提供することが可能になり、物流革命を起こす体制が整った」と話した。
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