全日本トラック協会は4月23日、トラック運送事業に携わる従業員の賃金や労働時間、福利厚生などの実態について調査した結果を「2018年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」として取りまとめた。
調査は、特別積合せ貨物運送事業者195社（有効回答事業者数46社）、一般貨物自動車運送事業者2298社（619社）を対象に、2018年5・6・7月に支給された給与の1か月平均額とその時点での労働時間、福利厚生などの実態について、2018年9～10月にかけて行われた。
職種別では、2018年5・6・7月に支給された全職種1人1か月平均賃金は特積が32万8400円、一般が32万8900円、これに年間支給賞与の1か月平均額を加えた月額は、特積が37万3700円、一般が36万9200円となった。
7年前の2011年調査時点と比較すると、特積は1人1か月平均賃金で1万3700円（2011年調査比4.4％増）で、年間賞与の1か月平均額を加えた月額でも1万9700円（5.6％増）となった。一般も2011年当時と比較して、1人1か月平均賃金が1万8600円（6.0％増）、年間賞与の1か月平均額を加えた月額も2万1300円（6.9％増）上回っている。
トラック運送事業全体では、全職種平均で1人1か月平均賃金が32万8700円（5.4％増）、年間賞与の1か月平均額を加えた月額が37万300円（5.8％増）となり、2011年調査に比べ金額にして1万6900円、2万300円それぞれ増加している。
男性運転者の賃金を職種別にみると、高い方から特積では大型、けん引、中型、準中型、普通、一般ではけん引、大型、中型、準中型・普通の順となっている。
大型運転者と中型運転者の賃金の差額は特積では1人1か月平均賃金で9万1800円、年間賞与の1か月平均額を加えた月額では9万2800円となり、一般では平均賃金で5万8000円、賞与を加えた月額で6万3300円となっている。
男性運転者の賃金を業種別に比較すると、1人1か月平均賃金と年間賞与の1か月平均額を加えた月額とも大型、中型運転者では特積が一般を上回り、けん引、普通運転者では一般が特積を上回った。
大型運転者を例にとると、特積と一般の差額は1人1か月平均賃金で4万6200円、年間賞与の1か月平均額を加えた月額で6万円だった。
トラック運送事業従業員の中核をなす運転者のうち、男性運転者（けん引、大型、中型、準中型、普通）の賃金をみると、特積では1人1か月平均賃金が34万2200円（2011年調査比5.5％増）、年間賞与の1か月平均額を加えた月額が38万6600円（8.0％増）となり、2011年当時に比べ金額でそれぞれ1万7800円、2万8600円増加している。
一般では1人1か月平均賃金が33万8500円（6.2％増）、年間賞与の1 か月平均額を加えた月額が36万9700円（5.8％増）となり、同じく金額でそれぞれ1万9700円、2万200円増加している。
特積と一般を合わせた男性運転者全体では、1人1か月平均賃金が33万9500円、年間賞与の1か月平均額を加えた月額が37万4500円となった。2011年調査時点と比べ、1 人1か月平均賃金は1万8900円（5.9％増）、年間賞与の1か月平均額を加えた月額は2万2100円（6.3％増）それぞれ上回っている。
トラック運送事業従業員の平均年齢は男性運転者が47.2歳（2011年調査時44.2歳）と7年前に比べ3.0歳高くなり、男女合わせた全職種平均では46.1歳（43.6歳）と2.5歳上昇している。
賃金構成については、職種別にみると、歩合給（運行手当等）や時間外手当（早出、残業、深夜、休日出勤手当等）などの変動給に占める割合は運転者が高い。男性運転者のなかで変動給の占める割合が高いのは主に特積で、大型運転者が64.2％、準中型運転者が56.5％、中型運転者が53.3％、普通運転者が50.8％、けん引運転者が49.9％と、けん引が若干下回る以外はいずれも5割を超えている。一方で、一般では大型運転者の50.0％が最も高いが、そのほかのけん引、中型、準中型、普通では固定給の方が高くなっている。
変動給の内訳をみると、男性運転者では特積で歩合給の占める割合が高くなっており、大型運転者の65.8％を最高に準中型運転者の60.9％、けん引運転者の58.7％などとなっている。一方、一般では歩合給と時間外手当がほぼ同じ比率で、準中型と普通運転者では時間外手当の割合が高くなっている。
賃金（賞与を含む）を年齢階級別にみると、20歳～29歳を100とした場合、特積、一般を合わせた全体では全職種平均で50歳～59歳が127.9で最大となり、次いで40 歳～49歳の127.2となっている。
