三菱地所は5月17日、東京・大手町の丸の内エリアで、日本初上陸となる米国Marble社の自動運搬ロボットを用いた自律走行実証実験を行った。
Marble社の自動運搬ロボットは高性能のレーザーセンサーと複数のカメラを活用した独自技術で、屋内・屋外の双方で自律走行をシームレスに行うことが可能。通常の屋外走行ロボットはGPSを利用しているため屋内を自律走行することが困難だが、Marble社のロボットは高精度なマッピングによって走行ルートを作成し、屋内外を行き来することができる。
デモンストレーションでは、三菱地所が保有する大手門タワーJXビルと、隣接する大手町パークビルとの間を周回するルートを走行。JXビル1階の3×3ラボフューチャー前からスタートし、広場を通過して大手町パークビル内に入り、ビル内を走行後、再び屋外に出て3×3ラボフューチャー前へ戻るまでの流れを検証した。
屋外からビル内へ入る際にセンサーで自動ドアの開閉を感知し、ドアが開くのを待ってから入場したり、走行中の急な飛び出しにも即座に停止して衝突を回避するなど、高度な走行・安全性能を発揮した。
三菱地所は、今後、このロボットをオフィスビルのほか、商業施設や空港施設など広域の横移動が必要な場所を候補とし、商品の配達や荷物の運搬などに使用して効果を検証する方針。将来は、公道実証が認可され次第、公道を経由した複数建物間での無人エリア物流などへ活用するなど、ロボットを活用したスマートシティ構想として活躍の場を広げていく方針だ。
実証実験のデモンストレーションを終えて、Marble社のKevin Peterson Co-Founder兼CEOは、「マーブル社はラストマイルデリバリーにフォーカスした事業を展開しており、自動運転技術の知見を持った優秀なメンバーで構成されている。世の中ではEコマースの発展が著しいが、人と車とフリップボードを使ったラストマイル配送の仕組みは100年前と変わっておらず、そのために多くの問題を抱えている。三菱地所による屋内外をまたいだロボット配送は、とてもチャレンジングな取り組みだ。まずは三菱地所の施設の敷地内で実証実験を進めていき、公道での規制が緩和された段階で、オンデマンドデリバリーや小包みのデリバリーも検討していきたい」とコメント。
三菱地所DX推進部の渋谷 一太郎統括は、「マーブル社の自動運搬ロボットは、高精度のマッピングによって屋内外を正確に走行でき、挙動の安全性も非常に高い。海外のロボットメーカーを色々と見てきたが、屋内外をこれだけシームレスに走れるロボットはない。実際に導入されれば、エリア内の横移動をロボットに置きかえることができ、労働力不足が解消されるなど都市部の物流の在り方が大きく変化していく。今後は丸の内エリア以外の商業施設や空港など、三菱地所が保有する施設を候補に、マーブル社と実証実験を進めていきたい」と語った。
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