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ヤマトHD/パリ国立高等鉱業とフィジカルインターネット情報交換

2020年08月31日/3PL・物流企業

ヤマトホールディングスは8月31日、グループのヤマトグループ総合研究所が日本でのフィジカルインターネット普及の加速を目指し、欧州でのフィジカルインターネットの第一人者である Eric Ballot教授が所属するパリ国立高等鉱業学校と相互情報交換の覚書を締結したと発表した。

パリ国立高等鉱業学校と締結した覚書の内容は「ヤマト総研は日本で深刻化する物流問題の実態に関する情報をパリ国立高等鉱業学校に提供する」「パリ国立高等鉱業学校はヤマト総研にフィジカルインターネットに関する知見を提供する」「ヤマト総研はパリ国立高等鉱業学校から得た知見およびパリ国立高等鉱業学校との意見交換を通じて、日本の物流に関わるステークホルダーに対し、日本でのフィジカルインターネットの実現に向けた情報発信を行う」となっている。

ヤマト総研は、昨年9月に米国ジョージア工科大学とも覚書を締結しており、今後、日本・米国・欧州で連携し、日本でのフィジカルインターネットの普及を進めていくとしている。

日本では、長距離ドライバーの不足に象徴されるように、物流業界での労働力不足が大きな社会的課題と言われている。その深刻度は年々増加し、対応は待ったなしの状況のため、産官学を含めた業界全体としてこの課題に早急に取り組むことが求められてる。

また、ドライバーに限らず、輸送車両・物流拠点といった物流資産の稼働率は必ずしも高くないため、改善の余地は極めて大きいと考えられる。

このような中、ヤマト総研は、既に北米・欧州・アジアで広く研究され、次世代ロジスティクス産業の大きな潮流と目されている「フィジカルインターネット」の日本での認知向上を図り、物流業界の課題解決に向けた活動を続けてきた。

2019年9月に米国でのフィジカルインターネット研究の第一人者である Benoit Montreuil教授が所属するジョージア工科大学と覚書を締結し、同年 12月にフィジカルインターネットに関心を持つ民間企業12社と研究会を発足、問題意識の共有と今後の可能性に関する意見交換を始めた。

2020年1月に、パリ国立高等鉱業学校のEric Ballot教授を登壇者に迎えたフィジカルインターネットシンポジウムを東京で開催、約200名が参加し、フィジカルインターネットについての関心の高さが示された。同年6月には、フィジカルインターネット懇話会を発足し、約100名が集い、活発な意見交換が行われた。また、同月には Eric Ballot 教授、Benoit Montreuil教授らが執筆した研究レポートの日本語翻訳版「フィジカルインターネット ~企業間の壁崩す物流革命~」が日経BP社から出版された。

なお、フィジカルインターネットとはトラックなどの輸送手段が持つ輸送スペースと、倉庫が持つ保管スペースを物流会社同士でシェアリングし、それらの稼働率を高めると同時に、燃料消費量を抑制し環境への負荷を減らすことで、持続可能な社会を実現する革新的な物流システムのこと。欧州では、2050年にゼロ・エミッションを達成することが目標として掲げられており、フィジカルインターネットはその達成手段の1つと位置づけられている。

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