日本航空（JAL）、セコム、旭テクノロジー、Red Dot Drone Japan、KADOは11月24日、兵庫県内で、医薬品配送、巡回警備、煙突点検、スポーツ空撮の4つのユースケースでの実証実験を10月27日～28日の間実施し、成功したと発表した。
＜7つの橋梁を越えるドローンの飛行ルート＞
＜医薬品(アンプル)搭載の様子＞
＜オペレーション室＞
実施内容は、JALの役割が医薬品を想定した輸送、運航管理・リスクマネジメント体制の構築。飛行エリアは洲本市メディセオ淡路支店駐車場 ⇔ 県立淡路医療センター屋上庭園（往復約5km）。概要は、医薬品（アンプル)疑似品を最大約5kgまで輸送。日本で初めて人口集中地区で橋梁7つを越える飛行に成功した。
軽量で輸送付加価値の高い医薬品は、都市部の輸送においてもドローンの活用が期待される品目。JALは、国の「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」（卸売販売業者による医薬品の配送）に基づき品質の保持や紛失防止に留意しながら、洲本市で製薬卸から病院へドローンによる医薬品配送の実証実験を行った。
政府が目指すレベル4運航において、地上へのリスクを軽減し都市部でドローンが安全に飛行するためには、河川上空ルートの活用が有効であると想定される。JALは、ドローンの「航空局標準飛行マニュアル」を基に安全措置を確保した上で、河川上空ルートへの出入りや橋梁上空の通過など、さまざまな運航障害に伴うリスクを想定して独自に策定した飛行ガイドラインを活用した遠隔運航管理を行い、日本で初めて人口集中地区において7つの橋を越えるドローンの飛行に成功した。今後、大きな河川を持つ他の都市や地域でのドローン活用に繋がると期待される。
また、運航管理システムの画面上に疑似的にヘリコプターを出現させ、ドローンを緊急着陸させるシナリオでの実証も行い、イレギュラー発生時を含めた安全なオペレーション機能と体制の検証を実施した。
この実証で得られた知見は、NEDOの「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」にて発表予定のガイドラインに反映されるとともに、更なるリスク評価と実証を通じてレベル4運航の実現に向けたドローン運航管理体制の構築に繋げていく。
今後、多種多様な目的を持つドローンが限られた低空域を飛び交うことが予想されるなか、JALは航空安全のノウハウを活かし、刻々と変化する状況に応じて多様なエアモビリティが安全かつ効率的に共存し運航できる運用支援を目指して、統合オペレーション基盤の社会実装に貢献していくとしている。
なお、セコムの役割は、巡回警備。飛行エリアは、姫路市～網干ボートパーク～網干なぎさ公園（不審者追従時：兵庫西スラッジセンター）。概要は網干ボートパーク周囲の巡回警備、および不審者発見時における追従から帰還までの一連の警備シナリオを実施。また点検用ドローンとの近接を行い、事前に設定した優先度に従って緊急着陸、上昇等の複数の回避行動も実施した。
旭テクノロジーの役割は煙突点検。飛行エリアは姫路市エコパークあぼし～兵庫西スラッジセンター。概要は、エコパークあぼし並びに兵庫西スラッジセンターにて、煙突など人の立ち入りが難しい場所での点検を実施。また警備用ドローンとの近接を行い、事前に設定を行った優先度に従って回避行動を行う。緊急着陸、上昇などの複数の回避行動を実施。
Red Dot Droneり役割は、スポーツ空撮。飛行エリアは上群町 ダイセル播磨光都第1、第2サッカー場。概要は、サッカー場の空撮を遠隔地からパイロットが操縦し行う。サッカー場とパイロットの拠点の間は、通常電波が届かない環境であるが、電話回線を使用することでドローンのリモート制御によって空撮業務を行う。これらは将来のレベル4に向けて、現地の人件費を最小限にすることで、持続性可能な ビジネスモデルの作成に必須の技術と考える。この実証では、現地にパイロットを派遣せずとも空撮が行えることを実証し、遠隔操縦に伴う安全性の問題点や解決方法の妥当性を検証する。
＜KADO提供運搬用BOXを装着したドローン＞
KADOの役割は、物流ドローン実証支援。概要は、物流ユースケースにおけるドローン運搬用BOXの提供・実証支援。
