ヤマト運輸とシスメックスは12月23日、シスメックスの拠点(神戸市)から検査機関(川崎市)まで、体外診断用医薬品の業界では国内初となる遺伝子検査用試薬のマイナス70度超低温帯での混載輸送を12月からドライアイスフリーで開始したと発表した。
この取り組みは厳格な品質・温度管理が必要な医薬品等のマイナス70度超低温帯での長距離輸送において、これまで不可欠と考えられていたドライアイスを一切使用しない、環境への配慮と低コストを両立した画期的なモデル。
シスメックスでは、厳格な品質・温度管理が必要な遺伝子検査用試薬はチャーターなど専用便で輸送しており、輸送コスト、流通の柔軟性、利便性が課題となっていた。また、輸送の際、保冷のために必要となるドライアイスは石油精製の過程で排出されるCO2などを原料としており、環境配慮、安定的な調達、調達価格の高騰などの観点から、改善に向けた施策を検討していた。
シスメックスとヤマト運輸は、この課題を解決するとともに、遺伝子検査用試薬の医療現場への安定供給を目指し、2021年2月からGDPに準拠した品質管理の下、ドライアイス使用量を約50%削減した超低温帯での混載輸送を開始。
そして、両社はさらなる環境負荷低減を目指し、ドライアイスの代替として超低温の冷凍庫で凍結した保冷剤を活用して輸送の実証実験を行い、ドライアイス使用時よりも高い保冷性能が確認できた。この結果を受け、両社は2021年12月より、シスメックス(神戸市)から検査機関(川崎市)まで、体外診断用医薬品業界で初めて、遺伝子検査用試薬のマイナス70度超低温帯での混載輸送をドライアイスフリーで開始した。
今後、両社はドライアイスフリーで医薬品等の長時間かつ長距離の輸送が可能なこのモデルを活用し、日本国内での対象品目・配送エリアを順次拡大していく。さらに、海外向け輸送への展開にも取り組み、高品質かつ安定した製品供給などコールドチェーンの進化に取り組んでいくとしている。
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