帝国データバンクは9月15日、企業の価格転嫁の動向に関するアンケート結果を公表した。
それによると、運輸・倉庫(93社)の価格転嫁率は17.7%で、全体の36.6%を18.9ポイント下回った。価格転嫁率とは、コストの上昇分に対する販売価格への転嫁割合を示した数値のことで、運輸・倉庫業ではコストが100円上昇しても17.7円しか価格に反映できていないことになる。
企業からは、「運賃交渉を継続中。業界内には積極的な値上げ交渉をすることによる荷主離れを懸念して値上げが進んでいないと考えている」や「同業他社も価格転嫁ができていない状態で、業界全体として連帯して、価格転嫁が可能な環境を作ることが必須と考えている」(ともに一般貨物自動車運送)といった意見が聞かれた。
また、全業種を対象に「これまでの政府の物価高騰対策の効果について尋ねた」質問では、73.2%の企業が「効果を実感していない」(「あまり効果を実感していない」38.9%、「ほとんど効果を実感していない」34.3%の合計)と回答。
企業からは、「中小企業が価格転嫁をするための仕組み作りや実効性のあるガイドライン作成を強く期待する」(工業用樹脂製品製造)や、「運送業は何もかも値上がりし、価格転嫁を要望してもほとんど転嫁できずにいる。運送会社への直接的な燃料対策を実施してほしい」(一般貨物自動車運送)などといった政府に対する要望も聞かれた。
アンケートは、9月9~13日にかけて1649社を対象にインターネット上で実施したもの。同調査は6月に続き今回が2回目。
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