商船三井は8月1日、船上の通信環境改善を目的に、グループが運航するクルーズ船、フェリー、内航RORO船で、KDDIの衛星ブロードバンド「Starlink Business」のトライアル利用を8月以降に順次実施すると発表した。
<左上から、クルーズ船「にっぽん丸」、フェリー「さんふらわあ さっぽろ」、「さんふらわあ さつま」、内航RORO船「むさし丸」>
商船三井クルーズが運航するクルーズ船「にっぽん丸」、商船三井フェリーが運航するフェリー「さんふらわあ さっぽろ」とRORO船「むさし丸」、フェリーさんふらわあが運航するフェリー「さんふらわあ さつま」の計4隻に「Starlink Business」の海上利用向け通信サービス「Starlink」を搭載。まずは、クルーと従業員でトライアルを行い、その結果を踏まえて乗客へのトライアル利用の拡大を検討する。
陸上から遠く離れた海上では、基地局からの電波が弱くなるため通常の携帯電話の高速通信の利用が困難であり、従来は静止軌道衛星を用いた衛星通信サービスを活用してきたが、情報量やデータ量の増加で船陸間のリアルタイムでの情報通信に課題を抱えている。
海運会社にとって、運航に関わるシステムやデータをリアルタイムで陸上と共有することは安全運航の強化へつながるため、船上の通信環境の整備が求められている。また、特に若年層の船員からは陸上と同じ高速なインターネットを必要とする声が多く、陸上との情報格差の解消による労働環境の向上が求められるほか、クルーズ船やフェリーの乗船客からも旅客サービスの向上として高速インターネットの船上での利用を望む声が増えている。
「Starlink」では、航海中にダウンロード速度最大220Mbpsの通信環境が利用でき、乗組員と乗客の高速通信と安全な運航に寄与する。
商船三井は、今回のトライアルで技術的な検証や経済性の評価などを行ったうえで、2023年秋以降に各船の状況・スケジュールに応じて順次本格導入を計画している。
なお、商船三井グループでは「Starlink」についてすでに外航船でのトライアルを実施し、既存の通信設備と比較して最大で50倍の通信速度の向上を確認している。